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コロナで冬のボーナスが大幅減…映像制作会社で働く社員の嘆き

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため、スポーツや音楽というようなエンターテイメント業界は相次ぐ公演キャンセルなどで、多大な金銭的被害を受けた。  映像業界も同様で、緊急事態宣言前後は撮影自体が何本もキャンセルとなった。都内にある映像制作会社に勤務している千田博美さん(仮名・28歳)は、今から次年度が不安だと嘆く。 「映像制作会社で契約書の作成や、制作費の管理などを行う部署で事務をしています。うちは地上波以外にも、BSやCSのテレビ番組の企画や制作をしたり、最近ではWeb用の動画コンテンツや企業がコンプライアンス研修などで使う映像などを制作していました。しかし、コロナ禍の影響で受注自体が減ってしまい、制作予定だった映像も何十本もキャンセルが出てしまったんです…」

管理部は収入が安定していたが…

映像制作

写真はイメージです(以下同じ)

 博美さんは大学卒業後に現在の制作会社に入社した。当初は制作部を希望していたが、入社後の人事で管理部に所属となったという。 「いわゆる、映像制作を行う部署は人気のある部署で、うちから人気CMディレクターになった人もいます。入社した時、配属にかかわらず、新卒は一度現場でADを経験するのですが、その時に私は新しいことを考えたり作ったりするような作業に向いていないと思い、事務を希望したんです」  業務内容自体には不満がないという彼女。ただ待遇差に関してはずっと優劣を感じていたという。 「職場はボーナスや残業込みの年俸制。成果主義のため、ディレクターやプロデューサーの人は売り上げが好調だと多く貰えるんです。でも事務職は売り上げに貢献できないため、ずっと据え置き。残業もそこまで多くないので、同期のクリエイティブ職と比べると新卒の頃と手取りが変わらないままだったんです」

貰えるはずのボーナスがカット。コロナ禍で疲弊

明細 しかし収入は安定していたため、この先も転職などは考えていなかったという博美さん。しかし、収入に異変が起きた。 「昨年度から、年俸制が廃止されて、月給と年2回の賞与になったんです。クリエイティブ職はボーナスにプラスで手当てが付く形となり、稼げる人とそうではない人で差が出ていました。私は、『ボーナスが出るならラッキー』と最初は喜んだのですが、給与の見直しが入り、月の手取りが少なくなったんです。ボーナスの支給額を少なくするためとはいえ酷いですよね…。でも、年収で見ると少しアップするはずだったので、前向きに仕事も頑張っていました」  そんな矢先、コロナで事態は悪化。今年度の売上が大幅にダウン。人員削減はまだだが、給与に影響が出たという。 「コロナのせいで映像作品が製作できず、業績が悪化しました。年末には上向くかと思ったのですが、さらに感染拡大しているので今後もどうなるかわかりません…。夏は前年度の売り上げからボーナスが支給されたのですが、今回の冬のボーナスは減額です。本当なら、ボーナスが3か月分支給されるはずだったのに…」
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事務職はリモートワークができない
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出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration

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