コロナ禍で借金や整形、ホストに堕ちた学生が“普通の日常”を恐れるワケ
「とにかく遅い」とされてきた我が国の新型コロナワクチン接種。医療従事者や高齢者だけでなく、5月24日から東京と大阪で65歳以上向けにもワクチン接種対象が拡大された。防衛省は、初日には7300人余りに接種したと発表。
ワクチン接種が日本よりも進む諸外国では、外出規制が解かれるなどして、いよいよ「アフターコロナ」の到来を実感する人も少なくない。我々としてはうらやましい限りなのだが、「もう少しこの状況が続いて欲しい……」などと願う人たちもいる。
「正直、もう店をやることは諦めてますので。才能もなかったし、コロナのおかげでなんとか生活は出来ていますけど“普通の日常”に戻ったとき、まともに働けるかどうか、不安しかありませんよ」
東京都内の天ぷら店主・須川正道さん(仮名・50代)は数年前、念願だった飲食店をオープンさせた。九州・博多で流行っているという天ぷら定食店を参考にしたカウンタースタイルの店内。味も値段も悪くない、という自負はあったが、客足は芳しくなく、どうにかしないといけないと思っていた矢先、コロナ禍に見舞われた。
1度目の緊急事態宣言で休業したものの、昨年夏頃には店を再開。「Go Toイート」キャンペーンもあてにしていたが、元々少なかった客足はついにゼロに。
こんな時期に派手な宣伝も出来ず、結局頼ったのは休業や時短営業をすることで都や国から支払われる協力金だった。
「この2年間で、600万円くらいのいろんな協力金、補償金を受け取りました。最初は申し訳ないと、きちっと働こうと思っていましたが、この状況に慣れてしまい、もう仕事は半年以上やっていません」(須川さん)
そんな須川さん、コロナ禍が終わればやってくるのは「店を閉める決断」と「再就職先探し」だと頭を抱える。
「店は開けているだけで赤字、協力金があるから今は平気ですけど……。コロナが終わっても客は来ないだろうし、再就職するしかないんですけどね。私を雇ってくれるところなんかないし、コロナがもっと続いてくれと密かに願っています」(同)
千葉県在住の主婦・野原雅子さん(仮名・50代)は、コロナ禍になったことで「旦那が自宅に帰ってくるようになった」と顔をほころばせるが、喜びの理由は「旦那と一緒に過ごせる時間が多くなった」というような甘いモノではない。
「以前は週4で飲みに出ていて、交際費だけで月に10万円以上使っていました。最初は喧嘩しましたけど、そんな生活が10年以上続いていて、もう私は文句を言う気力もなくて……」(野原さん)
いくら酒飲みの夫とはいえ、さすがにコロナ禍では自粛。仕事終わりにはヨタヨタと自宅に直帰するようになると、家計は一気に潤った。
家計的にも、そして夫の体調を考えてもこの状態、すなわちコロナ禍が続いた方が、野原さんにとっては「都合が良い」と思うになった。しかし、コロナ禍が続けば、別の懸念もあるという。
「旦那は週に2日ほど自宅でリモートワークをしていますが、一緒にいる時間が増えてお互いにイライラして口論することが多くなりました。このままコロナが続けば離婚の危機も……と思いますが、前よりはマシ」(同)
いずれにせよ、大なり小なりの不幸を甘んじなければならない野原さんだが、それでも「コロナ禍が続いて欲しい」というのは、偽らざる本音のようだ。
アフターコロナに待っているのは「店を閉める決断」と「再就職先探し」
飲兵衛の夫が飲み会を自粛、家計がラクに
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