コロナ苦境の地方百貨店、テナント撤退が相次ぐも「個性的な地場店舗」が続々
コロナ禍により地方百貨店のテナント撤退が深刻化するなか、これまでのような「大手アパレル中心」ではなく、地元資本の力を借りて店舗の活性化を図る動きが起きている。なかには個性的な地場店舗の導入をおこなうことで、これまでとは一味違った店づくりを目指す地方百貨店も生まれつつある。
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「地元企業による新業態ショップ」を導入した地方百貨店のひとつが、JR福山駅前にある「天満屋福山店」(広島県福山市)だ。昨年10月に同店5階に出店したのは、市内に本社を置く国産デニムメーカー「山陽染工」のオリジナルセレクトショップ「FUKUYAMA MONO SHOP」だ。
実は、福山市がある備後地方は国内最大のデニム生産地。その「福山デニム」のアンテナショップともいうべき「FUKUYAMA MONO SHOP」は百貨店らしい落ち着いた木目調の内装が特徴で、店内には市内工場で製造された福山デニムを使った衣料品や雑貨、マスクなどが所狭しと並ぶ。
この「FUKUYAMA MONO SHOP」が出店したのは、コロナ禍による倒産や経営規模の縮小によって同店から撤退した複数の大手アパレルショップの跡地だ。そのうち1つはフォーマル寄りの高級紳士服店であったが、それが大型のジーンズ専門店に生まれ変わったことで、一気にフロア全体の「カジュアル志向」が強まり、売場の雰囲気自体が変化することとなった。
さらに、今年3月には新たな試みとして新業態となる仮想空間上のバーチャルショップ「3D MONO SHOP」の運営が開始された。このバーチャルショップは実店舗である「FUKUYAMA MONO SHOP」を内装もそのままに3D化させたもので、バーチャルショップの商品をクリックすると天満屋のネットショップに飛び、そこで実店舗内の商品を購入することができる仕組みとなっている。
山陽染工によると、地方百貨店が地元企業と協業して実店舗を仮想空間上に展開することは国内初のこと。コロナ禍で苦しむ地場百貨店・地元アパレルの双方がタッグを組み、天満屋実店舗にアクセスするのが難しいような「商圏外のジーンズファン」の獲得にも挑む。
こうしたなか、天満屋は昨年11月に中国銀行(岡山市)、山陽新聞(岡山市)などとともに地域商社「せとのわ」を設立した。この「せとのわ」はコロナ禍で地元産品の売上が大きな影響を受けるなか、百貨店主導で「地域の資源」を発掘して全国に売り込むことを目標としており、さらなる「地域密着」「地域貢献」型の運営に向けて歩み始めることとなった。
【bizSPA!より転載。リンクなど元記事に移動します】⇒
大手が来ないなら地元の力で!
「バーチャルショップ」の出店も
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