「新入社員との接し方がわからない」と悩む上司が“まずはやるべきこと”
多くの企業が新入社員を迎え入れる春以降、新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。だが、業務内容や職場環境など、人により理由はさまざまだが、せっかく就職したのにすぐに退職してしまう人もいる。研修を終えて現場に出てきた新入社員たちは今頃、何を感じているのだろうか——。
私のもとには、研修に限らずパワハラに関してのご質問や悩みが数多く寄せられます。パワハラ防止法が施行されたことをきっかけに、「パワハラ」という言葉に敏感になっている方が増えたような気もしています。
こちらが実際に上層部の方から寄せられた声です。
・パワハラと言われることを恐れて、部下を注意したいけど注意できない。
・怒りたいけど関係が悪くなると後々大変なので、見て見ぬふりをしてしまう。
・色々考えてしまって怒れなくなってしまった。
・部下によって接し方を変えてしまう自分が嫌になる。
・今の若い子とのコミュニケーションの取り方が分からない。
一方、新入社員や若手の皆さんの声がこちらです。
・話を聞き終わらないうちに一方的に怒ったり否定されるので段々何も言えなくなる。
・間違っているときにも怒ってくれないので成長できないのではないかと不安になる。
・機嫌によって言うことがコロコロと変わるので、顔色をうかがうようになってしまった。
・言葉がキツい
・褒めてくれない
これを見ても分かるとおり、上司と部下の間に考え方のズレを感じます。上司と部下の考え方の両方が聞こえてくる立場だからこそ、皆さんにお伝えできることがあります。
私がまずお伝えしたいことは、「部下を怒るのは決して悪いことばかりではない」ということです。
問題は“怒り方が間違っている”ために、パワハラと訴えられたり、関係が悪くなったりしてしまうケースがあるということです。部下を育てるためには、時には怒ることも必要な場合もあると私は思います。
実際に新入社員や若手が離職する原因の1つとして、前述のように「上司が怒ってくれない」ということが挙げられています。怒りたいけど遠慮して怒れない上司と、間違ったときは怒って欲しいと思っている若い世代の間にズレが見えてきます。
これらのズレを少なくするために大切なことは、普段どれくらい部下とコミュニケーションがとれているか、だと思います。
普段からコミュニケーションがとれていると、怒られたときもその言葉が素直に心に響きます。しかし、普段から全くコミュニケーションが取れていないのにもかかわらず、一方的に怒られると反発したくなると思います。
元CAで研修講師歴12年の浪越あゆみと申します。普段は企業や行政向けの研修、高校生・専門学校生向けの就職ガイダンス、大学生向けのホスピタリティー論、接客業の方への接客アドバイスなどを行っています。昨今は新入社員と交流を深めようと思って声をかけると「セクハラ」、がんばれと言っただけでも「パワハラ」などと言われてしまい、現場ではどのようにコミュニケーションを取ればいいのかわからないという声を聞きます。
今回は、私が研修講師・マナーアドバイザー・アンガーマネジメントファシリテーターとして、職場の人間関係、コミュニケーションについて数多くの研修に携わってきた経験をもとに改善策をお伝えしたいと思います。
上司と部下の考え方に大きなズレ
部下を怒るのは決して悪いことばかりではない
研修講師歴12年、マナーアドバイザー、アンガーマネジメントファシリテーター。元CAの経験を活かし、これまで約4万人の方へ研修や接客アドバイスなどを行う。「研修のための研修ではなく職場で実践したくなる研修」がモットー。企業や学校関係での研修の他に大学の非常勤講師としても活動する。
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