大人のスニーカー選びの基本。目的、サイズを間違えている人が多すぎる
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
ウォーキングや通勤でスニーカーを履く場合、ちゃんと「歩く用」のスニーカーを選んでいますか? でなければ、かなりの確率で膝や、足、体を痛めるトラブルが発生します。
たとえば、誰もが知っているスニーカーに、コンバースのオールスターがあります。キャンバスとゴムでできた、どこにでも売っている不朽の名作です。しかし、あれがガチンコのバスケットボールシューズであることを知っている方は意外と少ないはず。ファッションとしても洋服と合わせやすく、履いた瞬間はクッションが効いているので、日常に取り入れている方も多いと思いますが、大人が毎日オールスターを履いて通勤や立ち仕事をしていたら、膝を壊します。
バスケットボールシューズはあくまでも屋内の木の床でプレーすることを前提に設計されています。同じスニーカーでもランニングシューズやウォーキングシューズには必要不可欠であるクッションが足りず、「歩く」よりは「止まる・ダッシュする」といった動きに長けています。また、どこでもグニグニと曲がってしまうので、かえって歩く動きをジャマして、足の裏が疲れてしまいます。
こうなると「足の裏がすぐに疲れる」→「踏ん張ろうとする力が分散されてしまう」→「ヒザや太もも、腰で体を安定させようとする」→「しゃきっと立てず猫背になる」→「ヒザと腰にもっと負担がかかる」と、ドミノ倒しが起きます。コンバースが悪いのではなく、用途がそもそも違うのです。
同様に、アディダスの「スーパースター」も1970年代にNBAの大半の選手が履いていたという正真正銘のバスケットボールシューズです。他方、アディダスの「スタンスミス」はテニスシューズ。どちらもがっしりとしたつくりに見えて、半世紀前の設計ということもあり、やはり「歩く」という用途には向いていません。室内用や、土・芝を想定したソールなので、コンクリートの上では減るのも早く、膝に衝撃がきます。
最近のメカニカルなデザインのスニーカーが苦手で、クラシックなスニーカーを履きたい気持ちはわかりますが、せっかく健康のために履いているスニーカーで膝や足腰を壊しては本末転倒。クラシックなラインで選ぶなら、ニューバランスやパトリック、日本のオニツカあたりから選ぶのが最適でしょう。
ひとくくりにスニーカーといっても、「歩く用」の靴とは、①足の曲がるところで曲がり、②アスファルトの上でも十分なクッションがあり、③すべらないこと。 最低限この3条件を満たさなければ、文字通り足元がおぼつきません。それでも、若いうちは問題がないのです。問題は、中年になってから。愛用してきたオールスターやスタンスミスがどうも足に合わなくなってきた、という方は、無理をせずに「歩く用」のスニーカーに替えましょう。
「歩く用」のスニーカーを選ぼう
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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