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キリン「氷結無糖」の“成田悠輔氏”広告取り下げが起こった本当の理由

 キリンの氷結無糖が、経済学者・成田悠輔氏の過去の発言に対するSNSの批判を受けて成田氏の広告を取り下げた。批判の矛先になったのは「高齢者は集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」という成田氏の発言。これに対して、共感ブランディングを提唱するブランディング専門家の松下一功氏は、「これは単なる凡ミスで、初歩的な設定さえできていれば防げた」という。また、「どの企業でも起こりうる危険な事例だ」とも話す。その理由とは?
キリン 氷結無糖

「キリン 氷結無糖」シリーズ 新キャンペーン画像

本当に改善するべきポイントは

まず、お伝えしたいのは、今回の騒動のポイントとなるのは、『SNSの声の大きさ』だと思われている人が非常に多いということです。それは表面上のことで、本当に改善するべきポイントは、もっと奥のほうにあります」  そもそも、ひと昔前までは芸能人の不祥事で広告が取り下げになることは、そこまで多くなかった。SNSがない時代は、情報は一方通行で、消費者の声が発信元まで届くことは容易ではなく、また、横並びでの情報交換も難しかったため、ささいな不満や不安の行き場はなく、時間の経過とともにナァナァで済まされてきたのだ。  しかし、SNSが浸透した現代では、消費者ひとり一人が発言の場を持ち、忖度のない意見や感情を吐露することが当たり前になった。企業や芸能人はセルフプロモーションツールとして便利に使える反面、一般人との距離が近くなり、必然的に意見を聞き入れざるを得なくなったともいえる。

「覚悟」が足りなかった「キリン 氷結無糖」

もちろん、時代が変わったというのもありますが、イメージキャラクターを選定する前に、ブランドや商品のポリシーを貫く覚悟を持つことが必要です。というのも、ブランドがポリシーを貫いたことでファンが生まれる一方で、アンチも生まれるものです。そのため、イメージキャラクターを選定する際には、ブランドがその人物の生き方や哲学に共感していることが前提でなければなりません。  それを踏まえた上で人選を行い、結果として起こりうる批判は覚悟の上。ブランドもイメージキャラクターもファンも、共にあることが、現代で生き残るブランディング戦略なのです」  ただし、ブランディングの観点からすると、氷結無糖が「甘くないのがいい」ことを起点にした点は、とてもよかったと松下氏。 「その上で、『氷結無糖は、自分の考えを貫き通す強い意志を持ち、時代とクールに向き合う人に飲んでほしい』、場合によっては『これに不満がある人はけっこうです。気骨のある人だけが飲んでください』といえる覚悟を持つ。こういったブレない信念があってはじめて、正しいブランディング戦略が可能になるのです
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必要だったのは「覚悟」
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経営コンサルタント、共感ブランディングの提唱者。株式会社SKY PHILOSOPHY 会長。40年近く、企業アイデンティティーやブランドコンセプトの確立を専門とし活動。2011年より「真のブランディングを世に伝える」ことをミッションに、講演、講師、コンサルティングを行う。2024年、著書『共感ブランディング®ドリル』で、自身の体系的オリジナルロジックを一般公開。ブランディングのわかりやすい実践書として高評価を得ている

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