旧統一教会2世の元セクシー女優が“出演を決意した”経緯「罰せられたいという願望が強かった」
華やかにみえる“妖しさ”が、悲しみに裏打ちされていることはままある。
筆者の前に姿を現したのは、艶っぽくもあり、儚げにも見える笑顔が魅力的な女性だった。桃瀬ゆり氏、元セクシー女優。出演本数は200以上にのぼり、タイトルには「SM」「凌辱」などの字面が踊るものも多い。“ハードな性”を生業にしてきた女性だ。
だが当の本人は、どんなハードな仕事も「楽しい現場でした」と振り返る。そして「これまで生きてきた環境に比べたら、たいていのものは楽しいんです」と沈んだように続けた。
話の最中、時折見せる遠くをみるような視線が印象的だ。桃瀬氏が生き抜いてきた過去とは、どのようなものだったのか。
「すごく変な話なんですが、痛みを与えられると性的な快感を感じるんです。もっと言葉を選ばずに言うと、“濡れる”んです」
開口一番、突然打ち明けられた秘密に、狼狽えた。だが生育歴を聞いて、少し靄が晴れた気がした。
「私は7歳頃から10年近く、父の仕事の都合でアメリカで過ごしました。両親ともに旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信している“宗教2世”です。母は生真面目で融通が利かない人で、特に熱心な信者でした。旧統一教会で信じられている”原罪”とどう向き合うかを真剣に考えている人です。そのため、私たち姉妹が“堕落”しないようにかなり厳しい躾をしていました。その態様は、体罰と呼んで差し支えないものでした」
旧統一教会信者である両親が特に徹底したのは、貞操観念だった。それは著しく歪んでいるどころか、性加害にも思える。だが桃瀬氏は、「父なりの性教育として受けて入れている」のだという。
「私が中学生くらいのときだったと思います。姉に彼氏ができたことが発覚し、両親は激怒しました。父は、姉や私に対して、『お父さん以外にこういうことをされてはいけない』と言って、直に胸を触ったりしてきました。父は激昂すると椅子を投げたりする人で、昔から怖かった印象があります。幼いときに口ごたえをして、髪の毛を掴んで振り回され、流血したこともありました。他にも、怪獣ごっこなどで遊んでいるときに、故意かどうかは不明ですが、膣内に父の指が入ってきたこともあります」
「旧統一教会の信者」である両親のもとで育つ
「父なりの性教育」は性加害にも思えるが…
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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