話題のドラマ『錦糸町パラダイス』に地元民が感じた本気。物語の背後に透ける“現実の事件”
はじめまして、錦糸町生まれ、錦糸町育ちのライターのあおきゆうすけと申します。
某夜ふかし系テレビ番組の街頭インタビューなどでよくいじられていたように錦糸町は、数え切れないほどの呑み屋と“夜のお店”、パチンコ屋と馬券売り場、おまけにサウナまでが勢揃いした、おじさんたちにとってのパラダイスというイメージで語られてきました。
それが近年、錦糸公園の近くに超高層マンションとショッピングモールができ、おとなり押上(同じ墨田区)にスカイツリーができ、駅前の楽天地ビルにPARCOが開業したことで、若者や女性やファミリー層、そして観光客も集まる明るく華やかな街に生まれ変わりつつあります。馬券をスマートフォンで手軽に購入できるようになってからは、日曜日に大行列を作っていたおじさんたちも、だいぶまばらになりました。
と、ここまで読まれた方は「なんだ、しょうもないライターの地元PR記事か」とブラウザバックしたくなったかもしれませんが、もうちょっとだけお待ちください! こうして良い方向に発展しつつも一抹の寂しさを感じるなんとも言えない心境を、機微に触れるストーリーと個性的なキャスト陣で見事にすくい上げる、これまで錦糸町に無関心だった方にもぜひご覧いただきたいドラマが、現在テレビ東京で放送されているのです。しかも、俳優・柄本時生の初プロデュース作として話題にもなっている!
その名は「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」。当初タイトルを見たとき、偏屈な地元民である私は、最近なにかと注目されやすい錦糸町の“名前を借りた”だけのドラマだとつい思ってしまいました。しかし、友人に勧められて軽い気持ちで観てみた結果、まったくそうではないことがわかり、いまでは毎週金曜の放送を楽しみにしています。
地元民が感じた「錦パラ」の本気
ドラマの中には「リアルフィクション」という架空の映像制作会社が出てくるのですが、まさにこの社名どおり、物語は錦糸町の「リアル」な部分を巧妙に「フィクション」にして織り交ぜながら、大きな事件が起こりそうな終盤に向けてゆっくりと進んでいきます。地元民からすると、このさじ加減がまず絶妙です。 ただ、それなりに地元のことを知っている人間が、現実の出来事と照らし合わせながらこのドラマを観るのと、すべてをフィクションとして観るのとでは楽しみ方の“質”がだいぶ変わってくると思います。というのも、「リアル」な部分をどのように描くかが物語そのものの方向性に関わっていて、今後の展開をさまざまに想像させるからです。 というわけでこの記事では、これまでとくに錦糸町に関心がなかった方にもその「追体験」をしていただけるような解説を書こうと思います。もちろん、本記事をご覧いただいたあとに第1話から視聴していただいても充分に楽しめると思います。過去の放送はLeminoとU-NEXTで全話配信されているほか、TVerで第1〜3話と最新話が、さらにはYouTubeの「テレ東公式 ドラマチャンネル」で第1話が期間限定で公開されているので、試しにご覧いただきやすい環境だと思います。
ギリギリ昭和生まれの下町生まれ下町育ち。酒と温泉と一人旅をこよなく愛す。好きな酒はビールと焼酎とウイスキー。
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