「コンビニのオーナー」として独立したところで…待ち受ける「従業員の確保・管理」問題
公共料金の支払い、宅配便の手配、通販で買った商品の受け取り……かつて“食品や日用品を買う場所”だったコンビニは、顧客のニーズに応えるべく、年々進化を重ねた結果、多岐に渡るサービスに対応するようになった。しかも、24時間営業だ。それが全国で5.7万軒もあれば、毎日のように何かしらの事件が起こっても何ら不思議ではない。そこで、現役のコンビニ従業員兼ライターの筆者が体験した出来事を赤裸々に紹介していく。
今回のテーマは「コンビニオーナーの実情」だ。夢を持ったサラリーマンがオーナーという響きにあこがれ、独立するケースは珍しくない。ただ、うまくいっているオーナーもいる一方で、うまくいっていないオーナーももちろん存在する。
いかにコンビニのオーナーが難しい立場であるかが分かるはずだ。
コンビニオーナーは、「一国一城の主」として独立した経営者のように思えるが、実際には多くの苦労が伴う。特に難しいのは、人材の管理全般だ。さまざまな理由での欠勤に対応するためには、十分な余力と仕組みが必要。
例えば、当日欠勤の際でも従業員同士でカバーできれば理想的ではあるものの、現実的には難しい。他店に応援要請せざるを得ない場合も少なくない。さらに流行り病が原因で、長期休暇を余儀なくされてしまう場合もある。
理不尽な客とのトラブルも日常茶飯事で、精神的にも大きな負担がかかる。現場にベテラン従業員や、副店長という右腕的な人材がいる時間帯であればスムーズに解決できるが、毎回そううまくはいかないものだ。
本部と電話対応を「まっとう」にやり取りできるような従業員がいれば問題ないが、慣れていない従業員の時間だとホットラインすら役に立たない。オーナーに直電しても連絡がつかないともなれば、レジには長い行列ができてしまう。
「24時間365日」経営を続けるために重要なのは優秀なスタッフの存在。なのだが、応募者の多くはコンビニを「単なるバイト先」と見ており、「この店で頑張ろう」と思っての応募は少ない。夜勤で応募する人は昼間に本業を持ち、収入を補うため。学生であれば「適当に金を稼げばそれでいい」と思っていそうだ。
そして、短時間の面談や面接のみでは応募者の本音を見抜くのは難しい。今の若い世代は積極的にコミュニケーションを取ろうとしない。休憩中はスマホに夢中だ。そのため、オーナーもグループLINEでのやり取りがメインとなり、従業員が不満を抱えていることに気付いた時には手遅れになる。日々限られた時間でいかにコミュニケーションを取れるかが、定着に大きく影響するのだ。
骨が折れる「従業員の確保・管理」問題
応募者の本音を見抜くのは難しいからこそ…
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サービス業一筋29年。大学1年生の時に大手ファーストフード店でアルバイトをスタート。その後中退し、中途入社。勤続21年ののち、コンビニ業界へ。
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