婚活で聞かれる「いい人がいない」の愚
内閣府調査によると婚姻率が年々低下、生涯未婚率も30年前と比べ上昇しているという。このままではいかん!とばかりに婚活にリキが入る若者世代であるが、やればやるほど相手が見つからないという、信じがたい状況が待ち構えているという事実が発覚した!
◆あちこちで聞こえる「今日はいい人がいない」
「出会えない」実態を知るべく、複数の婚活イベントに足を運んでみた記者。まず多くのイベントで、雑な開催ぶりが目立った。
とあるパーティは定員150人に対しあまりに会場が狭く、なかなか自由に身動きが取れない。照明は暗め、BGMがうるさすぎて会話もままならない。食事は唐揚げ、コロッケ、ちらし寿司などが出てきたが、あまりの量の少なさに食べられない人が続出。何度も参加しているという男性は「仲良くなったと思っても、メールが返ってこない」と話す。一方、女性は「こういう場でいい人に出会えたことがない」と話す人が圧倒的で、男女の意識の差が見えた。
一方、ほかの婚活パーティでは自称・野○証券勤務の男性らが「俺たちはこの中で一番イケてると思う」と声をかけてきた。記者の同行者に目をつけたらしく、終始「可愛いね」「結婚したい」と詰め寄るものの、真剣さは伝わってこない。後日、来たメールには「○村証券・慶○ラグビー部出身の△△です」と書かれ、スペック自慢だけは余念がない様子であった。
「お見合いイベント」にも参加してみた。男女15人ずつが5分ずつほど話し、最後に、好印象だった人の番号を係員に渡し、一致した同士がカップル成立するというシステムだ。互いのプロフィールカードを交換し、それをもとに会話をするが、「○○にお住まいなんですね。へえー……。で、ご趣味は?」などと極めて退屈な会話を15回連続で行わなければならず、苦行以外の何物でもない。結局、カップル成立は年収1000万円の男性ら1組のみだった。ちなみに男性は身長150㎝程。失礼ながら、5分の印象よりも年収の勝利と思わざるをえない。そしてここでも、「いい人がいない」とぼやく声が……。「いい人」とは一体どんな人なのか!?
「年収や学歴を除外しても、容姿や服装、会話のセンスなど全てが自分好みの人という意味です。しかし実際の結婚生活ではそれらの要素は重要ではない。恋愛したいのか、結婚したいのか定まらないまま婚活をするから、収拾がつかなくなっているのです」(恋愛・結婚カウンセラーの橘つぐみ氏)
『お見合い塾』塾長・山田由美子氏も、このように話す。
「アラフォー世代の人は出会っても『ピンとこない』とよく言いますが、25歳前後の人は受け入れの幅が広いからすぐに決めてますよ。世間を知らないというのもありますが、相手の給料が安くても自分が働けると思うから。でも年齢が高くなり、子づくりを考えるようになると『この人との子供はどうだろう』と考えてしまう。男女共にある程度の妥協がないから結婚できないんですよ」
その状況を打破するため、橘氏が提唱するのが「養殖恋愛」だ。
「そもそも、イベントの短い時間でお互いの長所がわかるはずがない。成婚までは何人かけ持ってもOKですが、その代わりつまらないことですぐ見限らず、長期的展望を持って、一人ひとりとちゃんと向き合うことです。相手の嫌な点も、自分好みに変えていく気概が必要」
山田氏は、本気で結婚したいのなら、潔く結婚相談所に登録すべきと話す。
「自由恋愛の時代ですので、いろんな人に出会いたい気持ちは否定しません。しかし、そこには真剣でない人が交じっていることもあり、総合的には時間の浪費。相談所は会費や成婚料で数十万円かかりますが、相手の身元は確実。同じ数十万円でも、たとえば海外旅行だと残るのは思い出だけですが、相談所では一生の相手が手に入ると考えると高くはないはず」
勇気をもって一人を選ぶ、もしくは相談所に入会する……いずれにしろ問われるのは当事者の覚悟、ということか。
【橘つぐみ氏】
「つぐみ恋愛相談所」主宰。30〜40代の恋愛・結婚コンサルティング、セミナーを行う。丁寧かつ理論的なアドバイスに定評がある。2児の母
【山田由美子氏】
仲人士。’58年、大阪府生まれ。「お見合い塾」塾長。結婚、離婚を経て確立した独自のシステムで、昨年、240組の男女を成婚に導いている
取材・文・撮影/SPA!結婚し隊(当企画の内容は特定の会社・団体とは関係ございません)
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