アニメの世界の要チェック困り顔ベスト5
―[ブームの[困り顔美女]って何だ]―
女子中高生のカリスマ歌手・加藤ミリヤ。最近の彼女をテレビや誌面で見るたびに「なぜそんなに困り顔なんだ?」と疑問を抱いたことから始まったこの企画。よくよく調べてみると、どうやら「困り顔」ブームが来ているらしく……
アニメの世界の要チェック困り顔ベスト5
困り顔美女のブームが起こっているのはリアルな世界の中だけではない。実はアニメ界では、リアル界に先駆けて「困り顔キャラ」がジワジワ浸透中だ。
「最近の深夜アニメは4コマ漫画原作が一つのジャンルです。これらの作品は、まったりとした日常の中で、個性豊かなキャラクターが登場するのが特徴で、その中に困り顔キャラが登場します。そのキャラが同じようなパターンで困る様子が繰り返しオチとして描かれることでキャラが確立し、視聴者にとってはそれがホッとする”お約束”になっているんですね」と語るのはアニメ評論家の藤津亮太氏。そんな藤津氏が困り顔キャラの1位に推したのが『けいおん!』の中野梓。彼女のフィギュアには、なんと困り顔の別注モデルも存在している。
「彼女は軽音楽部の5人の中で唯一の下級生で、一番マジメなキャラクター。先輩たちにイジられて、ムキになったり恥ずかしがったりするシーンは、ファンからも人気がありますよ」
さらに次の3つの作品にも、個性的な困り顔キャラが。
「『涼宮ハルヒの憂鬱』の朝比奈みくるは、アイドル的なルックスと気弱な性格が災いして、主人公のハルヒに無理やりコスプレをさせられたりするキャラクターです。彼女がオモチャ扱いされて困惑する様子は、視聴者サービスの一つといえるでしょう。『WORKING!!』の伊波まひるは、ファミレスでバイトをしているのに、極度の男性恐怖症。男性に近づかれると、困ったあげくに殴り倒してしまうという定番ギャグは『俺も殴られたい!』という気すら起こさせます(笑)。また、より悲壮な困り顔を見せてくれるのが、『機動戦士ガンダム00』のマリナ・イスマイール。貧困とテロに苦しむ国の皇女となり、転落していく人生から、ファンの間では『貧乏姫』とも呼ばれています」
実は、昔の作品にも、困り顔の萌芽ともいえる名キャラが。
「困り顔キャラの元祖的存在と言えるのが、’68年公開の『太陽の王子ホルスの大冒険』のヒルダです。悪魔の手先として村に送り込まれた彼女が、自分の素性を明かすべきかと苦悩する場面の表情がそう。当時葛藤の表情がアニメでここまで微妙に描かれたことはなく、苦悩の困り顔をいかに描くか監督とアニメーターが苦闘しました。初めて困り顔が真剣に描かれた名シーンかもしれません。また、困り顔の歴史を考えるうえでは『ちびまる子ちゃん』のまる子も外せません。漫画由来の、顔の縦線で戸惑いを表す手法は、もはや定番。あ、でも、困り顔美女ではありませんね(笑)」
【藤津亮太氏】
アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』。『チャンネルはいつもアニメ ゼロ年代アニメ時評』(NTT出版)が9月22日発売
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