更新日:2012年08月06日 16:30
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慢性的な胃の痛み…原因はストレスではない

仕事もプライベートも何かと忙しい30代。しかし、「忙いから」と健康を疎かにしていると、気がついたときには「すでに時遅し」となりかねない病気にかかってしまうことも。日常生活で見過ごしがちな“体の異変”を察知できるかが大事になるのだ。各分野の専門医の警告と、体が発する“サイン”に耳を傾けるべし! ◆みぞおちや背中に痛みを感じる、ストレスで胃が痛くなる、四六時中、胃薬が手放せない ⇒ 十二指腸潰瘍、胃ガンの可能性 病気 ストレス過多の現代人にとってまず心配したいのは、心労などに過敏に反応しがちな胃や十二指腸の病気。そこで、菅原医院の院長・菅原正弘医師に、これらの臓器の病気について聞いてみた。 「やはり多いのは、食後に胃の痛みが出る胃潰瘍や、空腹時にみぞおちに痛みを感じる十二指腸潰瘍です。空腹時、みぞおちに痛みを感じる人は要注意です。これは潰瘍部のただれた粘膜を胃酸や食物が刺激することも関係しています。場合によっては背中側に痛みが出たり、食欲不振や胸やけなどを感じることがあります」  こういった兆候がありながら放っておいて悪化してしまえば、胃や十二指腸に穴が開いてしまうこともある。その場合、激しい痛みや嘔吐が起こり、緊急手術する必要も出てくるのだとか。 また、胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、急性の場合は食生活の改善やストレスの軽減などで治るのだが、慢性となると話は違う。 「慢性的な胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、体内にいるピロリ菌が原因になっていることが多い。その場合、菌を取り除かない限り根本的には治りません」  と語るのは、消化器病を専門とする麻布医院の院長・高橋弘医師。 「ピロリ菌は、胃の中に生息する菌で、胃の内壁を傷つける性質があります。例えば『ストレスを感じると、胃がすぐに痛くなる人』などは、ピロリ菌の保菌者である可能性が高いんです。実はストレスで胃が痛いのではなく、ピロリ菌のせいで胃が弱くなっていることが考えられます」  その場合、いくらストレスを減らしても胃の痛みは取れない。そして、潰瘍で済めばまだマシで、場合によってはさらなる恐怖が待ち受けていることも。 「胃ガンです。ピロリ菌保菌者が胃ガンになる確率は1年で1000人に1人程度。しかし、胃粘膜の萎縮が進んだ萎縮性胃炎でピロリ菌保菌者は、1年で400人に1人が胃ガンになる可能性があります。そして、あまりに萎縮性胃炎が進行すると、胃の粘膜が荒れすぎてピロリ菌すら棲めなくなってしまいます。そうなると、1年で80人に1人という非常に高い割合で胃ガンになると言われています。でも、一度ピロリ菌を取り除いてしまえば、もうこの菌により胃・十二指腸潰瘍になる可能性はなくなるし、胃ガンになる可能性もぐっと減ります」(高橋医師)   ちなみに、ピロリ菌の除去は1週間ほどの投薬で終了するという。すぐ胃が痛くなる人、胃薬が手放せない人は将来のリスクを減らすためにも根本的な治療が必要かも
病気

ピロリ菌と萎縮性胃炎の有無で胃ガンへ悪化する割合が異なる。特に、ピロリ菌も棲めなくなるほど萎縮性胃炎が進むとヤバい

【菅原正弘医師】 菅原医院院長。内科医。糖尿病や高脂血症、リウマチなどの専門家として、テレビや雑誌に多数登場し、セミナーなどでも活躍。著書に『40歳からの糖尿病との上手なつき合い方』(中経出版)など 【高橋弘医師】 麻布医院院長。東京都肝臓専門医療機関である麻布医院の院長。消化器病、肝臓病、免疫治療、ガンの診療を専門とする。『ガンにならない3つの食習慣』(ソフトバンク新書)が発売中 イラスト/オーグロ慎太郎 ― 30代[死に至る病]の微妙な兆候【1】 ―
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