ゴミ屋敷の家主が抱える苦悩とは?
ゴミ屋敷は昔から蔓延っていたが、それは体力のなくなった高齢者が抱える問題として取り上げられることが多かった。しかし、ここ数年、ごく普通の働き盛りのOLやサラリーマンの間でも急増中だ。シングル向けの物件をゴミ屋敷にしたまま夜逃げをする住人も増え、家主や不動産屋も頭を抱えている問題だという。
◆ゴミ屋敷清掃代行業者が語る家主が抱える苦悩の中身とは?
多くのゴミ屋敷清掃を手掛けてきた代行サービス「孫の手」には、連日ひっきりなしにゴミ屋敷清掃の依頼電話がかかってきている。実際に、これだけのゴミを片付けるにはどのくらいの費用が必要になるのか。
「処分するゴミの種類や重量によって値段は変わってくるんやけど、最低でも15万円くらいはかかる。ひどい部屋の場合は、30万円以上することも。もちろんウチよりも安い業者はあるけど、安すぎるのも問題。ゴミを不法投棄していたり、追加料金で何十万もボッたりする業者もあるからな」(「孫の手」代表の佐々木久史氏)
それでも依頼は来る。やはりそれはゴミ屋敷化がどんどん当たり前になってきているからだ。他人事ではないと佐々木氏は言う。
「部屋をゴミ屋敷にするきっかけはつまらんことなんよ。例えば失恋して掃除する気がなくなったり、ゴミ出しの日に同じマンションのおばはんに『ちゃんと分別しろ!』って怒られて以来ゴミ出しができなくなったりとか。誰にでもある出来事や。それで一旦、家がゴミ屋敷になってしまうと、ゴミ屋敷に住んでいること自体がストレス源になって気が塞いでしまう。一見、平気で住んでるように見えても負のスパイラルや。便所の横で寝て、ゴミの臭いをかぎながら飯を食べて、使用済み生理用品をまき散らして、カネにはだらしなくなって……。そんな生活をしていて、心が健康でいられるわけないやんか。彼らは彼らで悩んでいて、自己啓発本を読んだり、精神科に通ったりして解決しようとするけど、ゴミ屋敷から脱出しない限りは根本から治せない。ゴミ屋敷の住人は、よく言えばやさしい人、悪く言えば気の弱い人が多いから、この状態が続いて自殺を考える人も少なくないんやで」
確かにゴミ屋敷化して自殺を考えるくらいなら、悩まずSOSを出したほうがいいはずだ。しかしせっかくきれいに片付けたところで、維持するのは難しいだろう。
「ウチの場合は、アフターケアをする。『ちゃんとゴミ捨ててるか?』って。本来は家族やご近所さんがやることやけどな。田舎から出てきた一人暮らしの人にはまずないやろ。今の日本には、大阪のおばはんみたいな鬱陶しいくらいのお節介が必要やと思うわ」
やはり日本からゴミ屋敷をなくすには、地域コミュニティの復活が不可欠なのだ。
⇒汚部屋【画像】はコチラ
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=284497
【佐々木久史氏】
代行サービス「孫の手」社長。関東·関西にて代行サービス業を繰り広げている。ゴミ屋敷清掃以外にも、並び代行、引っ越し手伝いなど幅広い依頼を受ける(お問い合わせは03-6240-5252)
取材・文・撮影・イラスト/村田らむ 撮影/水野嘉之 取材協力/孫の手
― OL&サラリーマンのゴミ屋敷を拝見!【6】 ―
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=284497
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