【LTEのカラクリ】知らないと損する「繋がりやすさ」「速さ」の決め手とは?
ついこの間まで「プラチナバンド」で盛り上がっていたのに、今やケータイ関連の話題の中心は、高速通信規格「LTE」だ。auとソフトバンクが、共に初のLTE対応端末となる「iPhone5」を発売してから約一月。先行していたドコモとイー・モバイルを加え、これで4大キャリアによるLTEサービスが出揃ったことになる。当然ながら「どこが繋がりやすい?」「どこが速い?」論争が勃発中。一体、LTEの接続環境を決定する要素とは何なのか。モバイル評論家の法林岳之氏に解説してもらった。
◆iPhone5のスピードテストではauに軍配
――そもそも「LTE」とは何なのか。一言でお願いします!
※iPhone5のスピードテスト
(http://mmd.up-date.ne.jp/news/detail.php?news_id=1127) 法林:iPhone5の場合、日本では現状、2GHz帯域でしかLTEに接続することができません。この2GHz帯ですが、ソフトバンクはすでに3Gユーザーでパンパン。とくに都市部では飽和状態です。なので、最近取得したプラチナバンド(900MHz帯)に接続する3Gユーザーを増やし、2GHz帯がすいたところにLTEを流すという方法をとっているんですね。一方、auではプラチナバンド中心に3Gを提供していたので、もともと2GHz帯は比較的すいていた。さらに、PHS用の1.9GHz帯との干渉を避けるためにガードバンドを設けていたので、その分もLTEに割くことができる。電波は水モノなので、1回の調査結果だけで結論を出すことはできませんが、少なくともiPhone5に限っていえば、なんとかやりくりしているところと、もともと懐に余裕があるところで差が出た……ということではないでしょうか。 ◆基地局の数が多いから繋がりやすいわけじゃない!? ――iPhone5以外の端末だとどうですか? 法林:まだ端末が出ていないので何とも言えませんが(笑)、ひとつ注目しておきたいのは、auのネットワークでは1.5GHzでも800MHzでも2GHzでもLTEに繋がるということ。あいにくiPhone5は2GHzにしか対応していませんが、今後これらのすべてに対応した端末が登場すれば、よりLTEに繋がりやすくなります。また、これはさらに先の話になりますが、複数の周波数を同時に掴める端末が登場すれば、道路の幅がボンと広がって、150Mbpsくらいの速度を出すことも可能になるでしょう。現状、ドコモとソフトバンクでは2GHz帯のみ、イー・モバイルでは1.7GHz帯のみでしかLTEに対応していませんが、各社の今後の取り組みにも期待したいところですね。 ――先日、ソフトバンクがイー・モバイルとの経営統合を発表しました。これで基地局が増えて、ソフトバンクのLTEが劇的に繋がりやすくなるのでは……と期待されています。 法林:あの孫さんの会見は、ちょっとズルかったですね(笑)。auと比べて基地局数が多いという点を強調していましたが、iPhone5に対応している基地局数を比べただけですから。LTE全体となれば、auも800MHz帯や1.5GHz帯が入ってくるので数が変わってくる。それに、基地局の数が多いから繋がりやすいというわけでもない。1個の基地局がカバーするエリアの広さがまったく同じなら、数が多いほうが当然有利ですが、実際には基地局ごとに違いますからね。 ――なるほど。 法林:イー・モバイルが持っている1.7GHz帯のLTEはiPhone5でも使えるので、1.7GHzと2GHzのダブルエンジンでLTEが使えるようになれば、確かにソフトバンクの強みになりますが、まだまだ先の話でしょう。それに、イー・モバイルのネットワークも都市部では結構混雑しているので、そこにiPhoneのLTEが流れてきたときに、どの程度さばけるのかはまだ読めないところもあります。 ――電波の調整って、一筋縄ではいかないんですね……。 法林:まったくその通りです。ネットワークの構築、端末の設計も含めて総合的にチューニングしないと、スピードも上がらないし、繋がりやすくもならない。LTEはまだ登場したばかりの技術です。「繋がりやすさ競争」に結論が出るのは、これからですよ。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
法林:LTEとは、「高速・大容量・低遅延」の次世代通信規格のことで、現在使われている「3G」に替わるものとして「4G」と呼ばれています。現状ではデータ通信専用の規格ですが、あと2年もすれば音声通信も可能になるでしょう。世界中で使える統一規格として考案され、いずれ世界のほとんどの通信事業者が採用するようになれば、開発コストが下がって通信料金や端末代が安くなると言われていますが、一般ユーザー的には「とにかく速い!」というのが今のところ最大のメリット。低遅延――すなわちタイムラグが発生しにくいので、オンラインゲームなどでも威力を発揮します。
――そのLTEですが、iPhone5が出てから、「●●線ではauが強い」「●●駅周辺ではソフトバンクだ」など、両社のユーザーが「繋がりやすさバトル」を繰り広げているようです。結局のところLTEの繋がりやすさ、速さというのは何によって決まるんでしょう?
法林:まずは「LTEのためにどれだけ広い道を与えられるか」でしょうね。現状、3G用に使っている道路の中に、新たにLTE専用のレーンを設けるイメージですが、その幅をどれだけ広く取るかということです。当然3Gにしわ寄せがいくので、闇雲に広く取ることはできない。その調整をいかに上手く行っていくかがポイントになるわけです。
――MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)が行ったiPhone5のスピードテストによると、au版の平均ダウンロード値が13.44Mbps、ソフトバンク版が9.56Mbpsという結果が出ていますが……。
(http://mmd.up-date.ne.jp/news/detail.php?news_id=1127) 法林:iPhone5の場合、日本では現状、2GHz帯域でしかLTEに接続することができません。この2GHz帯ですが、ソフトバンクはすでに3Gユーザーでパンパン。とくに都市部では飽和状態です。なので、最近取得したプラチナバンド(900MHz帯)に接続する3Gユーザーを増やし、2GHz帯がすいたところにLTEを流すという方法をとっているんですね。一方、auではプラチナバンド中心に3Gを提供していたので、もともと2GHz帯は比較的すいていた。さらに、PHS用の1.9GHz帯との干渉を避けるためにガードバンドを設けていたので、その分もLTEに割くことができる。電波は水モノなので、1回の調査結果だけで結論を出すことはできませんが、少なくともiPhone5に限っていえば、なんとかやりくりしているところと、もともと懐に余裕があるところで差が出た……ということではないでしょうか。 ◆基地局の数が多いから繋がりやすいわけじゃない!? ――iPhone5以外の端末だとどうですか? 法林:まだ端末が出ていないので何とも言えませんが(笑)、ひとつ注目しておきたいのは、auのネットワークでは1.5GHzでも800MHzでも2GHzでもLTEに繋がるということ。あいにくiPhone5は2GHzにしか対応していませんが、今後これらのすべてに対応した端末が登場すれば、よりLTEに繋がりやすくなります。また、これはさらに先の話になりますが、複数の周波数を同時に掴める端末が登場すれば、道路の幅がボンと広がって、150Mbpsくらいの速度を出すことも可能になるでしょう。現状、ドコモとソフトバンクでは2GHz帯のみ、イー・モバイルでは1.7GHz帯のみでしかLTEに対応していませんが、各社の今後の取り組みにも期待したいところですね。 ――先日、ソフトバンクがイー・モバイルとの経営統合を発表しました。これで基地局が増えて、ソフトバンクのLTEが劇的に繋がりやすくなるのでは……と期待されています。 法林:あの孫さんの会見は、ちょっとズルかったですね(笑)。auと比べて基地局数が多いという点を強調していましたが、iPhone5に対応している基地局数を比べただけですから。LTE全体となれば、auも800MHz帯や1.5GHz帯が入ってくるので数が変わってくる。それに、基地局の数が多いから繋がりやすいというわけでもない。1個の基地局がカバーするエリアの広さがまったく同じなら、数が多いほうが当然有利ですが、実際には基地局ごとに違いますからね。 ――なるほど。 法林:イー・モバイルが持っている1.7GHz帯のLTEはiPhone5でも使えるので、1.7GHzと2GHzのダブルエンジンでLTEが使えるようになれば、確かにソフトバンクの強みになりますが、まだまだ先の話でしょう。それに、イー・モバイルのネットワークも都市部では結構混雑しているので、そこにiPhoneのLTEが流れてきたときに、どの程度さばけるのかはまだ読めないところもあります。 ――電波の調整って、一筋縄ではいかないんですね……。 法林:まったくその通りです。ネットワークの構築、端末の設計も含めて総合的にチューニングしないと、スピードも上がらないし、繋がりやすくもならない。LTEはまだ登場したばかりの技術です。「繋がりやすさ競争」に結論が出るのは、これからですよ。 <取材・文/日刊SPA!編集部>
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