相場が冷えるとIPOが活気づく!?
日経平均が8000~9000円台で足踏みするなか、いつの間にか上昇銘柄を続出させているIPOマーケット。大型株がやりづらい不況下では中小型株に資金が集まりやすいのだが、特に相場が冷え込むとIPOが活気づくとも言われている。その理由は何なのか? 探ってみた!
◆好調なIPOマーケット。復活は本当なのだろうか
相変わらず1万円を突破できない日経平均をしり目に、昨年とは打って変わって賑わっているのが、IPO(新規上場)マーケットだ。
「’12年のIPO総数は46社と、’11年の37社より数が増えたこともありますが、今年は初値が公募価格を上回った銘柄が多かったことが特徴的です」とはアナリストの小川佳紀氏。11月30日現在、32件あったIPO銘柄のうち26件で初値が公募価格を上回っている。
「エムアップ(3661)やエイチーム(3662)、エニグモ(3665)など、IPO後も株価が順調に上昇し、高パフォーマンスな銘柄も増えています。初値天井だった銘柄が多かった昨年に比べると、今年は大きくIPOを取り巻く環境が変化した年だったと言えるでしょうね」(以下、小川氏)
今年は、12月の駆け込みIPOもかなり多い。
「この12月の駆け込みIPOは全部で14社。1か月でこれだけIPOが行われるのは、’08年の13社以来です。個人投資家を中心に資金の循環が起きており、年末から年始にかけて盛り上がるはず」
なぜ、これほどIPOマーケットが活況なのか?
「リーマン・ショック後、資金余りで未公開株に投資していたファンドが、資金を回収するために、投資先の企業に上場の圧力をかけているという話も聞きます」
いずれにしろ、この流れは’13年も続くと見られている。
「とはいえ、IPOなら何でもいいかというと、そうではありません。今後のIPOのテーマは二極化。そのなかでも鉄板なのが東証マザーズのIT関連銘柄です」
実際、前述したエムアップは芸能人ファンサイトの運営(初値約2倍)、エイチームはソーシャルゲーム&スマートフォンアプリの制作(初値約3倍)、エニグモはソーシャルショッピングサイトの運営(初値約2倍)と、優良IPO銘柄は、すべからくマザーズに上場したIT関連銘柄だ。
「マザーズは、来年1月の東証と大証の合併で、7月に向けて市場が集約されていくなか、プレミアム感が増しています。またIT関連銘柄は、業績が伸びているのはもちろん、やはり今後の産業を支えていく分野です。それ以外では、バイオ関連は思惑で値上がりしやすいので、iPS細胞のように大きなニュースがあれば注目を集め、資金が向かいやすい。あとはソーシャル、電子書籍など。さらに、地方を中心にいわゆるマンション販売などの新興不動産の上場も目につくようになりました」
新興不動産が活況になれば、かつての爆騰相場も夢ではない。
【後編】に続く⇒2013年に爆騰するIPO銘柄を徹底研究 https://nikkan-spa.jp/342813
【小川佳紀氏】
フィスコ株式リサーチ部アナリスト。中堅証券会社を経て現職。中小型株や新興市場株の分析から、為替相場まで幅広く担当する
取材・文/宏志(本誌) 図版/ミューズグラフィック
― 初値2~3倍銘柄も登場 2013年に爆騰するIPO銘柄を徹底研究【1】 ―
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