日本には食糧自給率170%の町がある
岩手県紫波町で地方再生の仕事をしていたというぐっちーさん。この仕事を通して、地方の可能性を大いに感じたという。驚異の食糧自給率170%を誇る紫波町を例に地方経済再生のシナリオを語った。
◆今後は都会にも負けない安全と豊かな生活を掲げ、地方が発展することが不可欠【後編】(現役金融マン ぐっちーさん)
⇒【前編】「地方再生のモデルは岩手県紫波町にあり」はこちら
そして東京生まれ東京育ちの私が紫波町にしばらく住んで気がついたことがあります。それは昨今、中国製の食品で問題になっている、食の安全問題。紫波町では、米、野菜はもちろん、肉、たまごに至るまで、ほぼ全ての食品が地元の生産物で賄うことができます。紫波町の人口3万4000人に対して、食糧自給率はなんと170%。地元の人々はすべて地元のものを食べて暮らしていけます。しかも、トマトから牛肉に至るまで、どこの誰が作っているのか、が100%把握できる「完全トレーサブル」。もちろん大手スーパーやコンビニではわかりませんが、生産者の顔がわかる商品に慣れている町民をお客様にするには、大手といえども細かい生産地表示を強いられ、結果、町全体では相当な食の安全が確保されているのです。
日本全国回ったわけではないですが、この紫波町のような地域もあるのではないでしょうか? 都会に住む人も、託児所が見つからずに子供が産めない、食料の安全が心配だというならこういう所へ移住するというのも今後は選択肢に入ってもおかしくない。そのためには地元の人は当然、都会の人も働けるような雇用を生み出すことが重要です。今までの地方都市では、みんな都会に働きに出ていってしまい、人材的にも都会に搾取されてきた。これからは都会の人々を安全と豊かな生活を前面に掲げて、こちらに取り返すという努力が地方発展のためには不可欠なのではないでしょうか。
【今週の数字】
紫波町の食糧自給率
170%
日本全体の食糧自給率は下落傾向が続いている。生産ベースで66%、カロリーベースでの食糧自給率はさらに低く39%。日本の食糧自給率の低調さが目立つなか、紫波町の水準はかなり高いといえる。
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)を主宰している
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