PCスキルよりも発想力や話術を向上させるべし
日本のパソコン普及率が70%を超える今、バリバリ働いているはずのアラフォー世代でパソコンを使えないサラリーマンがいまだにいるという。そんなサラリーマンはどうすればいいのだろうか
◆書類作成能力ではなく、発想力や話術を磨くのが本当のスキルアップ
「パソコンは、所詮一つのツールでしかないですね」と語るのは、ネットニュースサイト編集長や多企業のネットプランニング業務を手掛けている中川淳一郎氏だ。
「僕からすれば『パソコン能力が高いことこそ、価値がある』というのは、’90年代後半の考え方ですよ。実際に僕が博報堂に入社したのが’97年で、他の社員よりタイピングが少し速かった。当時はそれだけで部長から『今年の新人はできるな』って言われる時代でした。でも実務能力を考えると、パソコンがそんなに使えない先輩のほうが明らかにすごい。それが今は、パソコンが使えるぐらいじゃ驚かれないし、優秀な人材だなんてもう評価されませんよ」
とはいえ、現代のビジネスマンにとってパソコン能力は必要不可欠。しかし中川氏は、「パソコンを使った些細な書類作成能力が、過大評価されている」と語る。
「例えば10年前は、プレゼンの企画書にパワーポイントが多用されアニメを入れたりして凝っていた。昔はそれができるヤツと思われていたけど、今はそんなことをするヤツはいません。本来、企画書なんてA4サイズのWord2枚で十分。日本人は、書類をちゃんとした体裁で出すべきみたいな風潮があるけど、相手に伝われば関係ない。パソコンは使えないより、使えたほうがいいとは思うけど、わざわざ企画書一つにムダな労力や時間をかけるなら、己の発想力や話術に磨きをかけたほうがマシだと思います」
さらに、「アラフォーでパソコンが使えなくても、ある程度の役職についてる人は、超優秀だと思いますよ」と続ける。
「そういう人は人望もあって、フォローしてくれる優秀な部下がいるからこそ、その役職につけたはず。だから、他人と接して信頼される関係を築くことのほうが先決です。単にパソコンを使うだけなら、オタクでニートのほうがよっぽど使える。けど30年間働いている社員のほうが彼らより稼ぐことが大半だし、会社の利益も生んでいる。最終的に、パソコン能力よりも個々の仕事能力で評価されるのが現実です。ただ、勘違いしないでもらいたいのは、仕事もまともにできなくて、パソコンも使えないのは最悪。僕の話を聞いて、『じゃあ、できなくてもいいや』と短絡的に考えるヤツは、本当の大バカ野郎。他人以上の仕事ができないならパソコンくらい使えないと論外です!」
肝心な部分をはき違えてPC原人どころかバカ社員にならないように、注意してもらいたい。
【中川淳一郎氏】
ネットニュースサイトの編集長や、企業PRのプランナーとして活躍している。近著『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社刊・共著)が発売中。その他、著書多数
取材・文・撮影/青山由佳 福田 悠 吉岡 俊 八木康晴(本誌)
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