ぼっち外出の鬼門は「遊園地」、穴場は「水族館」
―[「ぼっち」休日動態調査]―
お一人様専門店も登場し、世は「一人客」に対し、受け入れ態勢を整えつつある。半面、仲間と過ごす人を“リア充”と呼び、一人でいることを“ぼっち”と自虐する層も増えている。果たして、「ぼっち」での行動はどこまで許容され、どこで屈辱を感じるのか。孤独感が浮き彫りになる休日に絞って、「ぼっち」の「OK/屈辱」の分水嶺を探った!
<娯楽施設編>カップルや家族で溢れる難所揃い
娯楽施設は通常、複数人でよろしくやるためにある場所だ。
カップルや家族連れの巣窟でもあるこのジャンルは極めてハードルが高い。
圧倒的多数が「行く気にもなれない」と答えたのは遊園地だった。「一人で行動できるアタシかっこいい、と思ってます」と豪語した女性ですら、遊園地はどうかと振ると「それはさすがにカネを積まれてもイヤ」と口をつぐんだ。
「2人座席が基本のジェットコースターに一人で座って晒される気にはなれない」(31歳・男性)というように、多くの遊具がペアで座る前提で設計されていることも、ぼっちを拒む要素となっているようだ。
また、施設の種類によっては、ジェンダーバイアスによって抵抗を感じるケースも少なくない。
「バッティングセンターで一人でかっ飛ばす女は珍しいようで、男性客に『寂しい女』と笑われた」(26歳・女性)、男性では、「プリクラを撮ってみたのだが思いのほかしんどかった。シールが出るのを待つ間の女性の目が痛くて……」(27歳)という声が上がった。
映画館については、映画好きならば一人で観ることに抵抗も感じない娯楽と言えるが、感受性豊かなぼっち層からは、こんな声が寄せられた。
「感想や感情を共有できないのは寂しい」(32歳・男性)
「感動モノを観たあと近くの喫茶店で一人思い出し泣きに浸って、しばらくして冷静になって、何やってるんだろう俺って……」(29歳・男性)
内容も重要だ。
「ティーンの青春映画だけはNG。客層が高校生ばかりでJKにヒソヒソ指さされた」(34歳・男性)
「ホラーやアクションはいいけど、恋愛映画は一人で観ても寂しくなるだけ」(29歳・女性)
その特質上、総じて否定的な意見のほうが目立つ娯楽施設だが、ぼっちに好評だったのが水族館と動物園だ。
「館内が暗いので一人でも目立たないし、魚をゆらゆらと眺めているだけで気が紛れる」(27歳・女性)
「みんな動物を観に来ており、なおかつ客は広い場内を移動していることが多いから一人でいても誰も気にしない」(30歳・男性)
ぼっち状態のまま、娯楽にも無縁だと一層寂寥感に襲われてしまう。孤独感を際立たせない娯楽として、水族館と動物園は押さえておくべきスポットなのである。
取材・文/朝井麻由美
― 「ぼっち」休日動態調査【4】 ―
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