FRBの「米株バブル」懸念という可能性
資料参照>。その意味では、イエレン期待の過度のリスクテークにも、一抹の危うさを感じなくもないが、果たしてどうか?(了)
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
FRB緩和縮小開始が大幅に遅れそうな見通しになってきたことから、10月以降、米株高再燃となった。こういった状況を、FRBは懸念している可能性はないだろうか。
◆「イエレン期待」にも一抹の不安
FRBによる株高への懸念と解釈できる発言は、5月10日のバーナンキ発言だった。バーナンキ議長は講演の中で、「今の低金利の状況で、特に注意して見ているのは、利益を得るために過度にリスクを取る動きだ。これが資産価格や実体経済に影響を及ぼす可能性がある」と述べたと報道された。
ちなみに、FRB超金融緩和見直し開始が意識され、米金利上昇が急加速に向かったのは、5月22日、やはりバーナンキ発言だった。以降では、FOMC声明などで、株高懸念は特に見られない。米金利が上昇する中では、株式市場で過度にリスクを取る動きにも限度があるとの判断から、あえて警告する必要がなくなったということではないか。
ここにきて、米緩和縮小開始が、来年春以降まで大幅に遅れそうといった見通しが出てきた。それを受けて、株高再燃の様相となっているが、上述のように「低金利の中で過度にリスクを取る動き」への懸念を再燃させている可能性は注目される。
ところで、緩和縮小開始の大幅遅延見通しは、「超ハト派」とされるイエレン副議長の次期議長就任見通しも一因となっているだろう。ただそのイエレン氏は、2007年の住宅バブルに伴う米株高バブルに対して、警鐘を鳴らすとともに、利上げを主張したこともあったとされる。
米景気と米株の関係は、そんな2007年当時と最近は類似しているように見える<
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