10月から金融マーケットが変わった「本質」はこれだ
10月に入ってから一時広がった世界同時株安は、今週は少し落ち着いた感じになっている。それにしても、世界同時株安となった背景には、10月に入ってから「世界の中銀がディスインフレとの戦いに敗れつつある」、「世界の経済成長が腰折れしつつある」といった懸念が強まったことがあっただろう。
◆「米国は大丈夫」から「米国も大丈夫か」に変わった10月
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
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9月までも、ユーロ圏に象徴されるように、世界景気の回復の鈍さへの懸念はあったが、それとは別に米英などは着実に金融緩和を見直し、さらに来年からはいよいよ利上げを始められるとの見方が基本だった。ところが、10月に入ると、そんな米英にもついに悪影響が波及してきたとの見方が一般化し始めた。
きっかけは、10月前半に公表されたIMF・WEO(世界経済見通し)や9月FOMC議事録だっただろう。それにしても、10月からのこのような変化を象徴する一つは以下のようなことだろう。
「フェデラルファンド(FF)金利先物の動向によると、2015年10月までに利上げが実施される確率は46%となっている。9月末時点では85%だった」(10月22日付けブルームバーグ)。9月の段階では、来年秋までに米利上げが始まるのは「9割方間違いなし」との見方だったのが、最近は「半々か」に変わったという意味になるだろう。
「ユーロ圏がデフレに転落しても米経済は大丈夫」というのが9月までの一般的受け止め方だったが、10月に入ると「米国も含めて世界経済は歴史的金融緩和にもかかわらず結局ディスインフレとの戦いに敗れてしまうのか」との懸念が浮上してきた。このような受け止め方の変化のなかで世界同時株安が一時広がったわけだ。
このような懸念は心配し過ぎなのかをマーケットは見極めようとしているのが現在の段階だろう。世界同時株安があくまで一時的にとどまるか、それとも「第2幕」に向かうかは、その見極め次第だろう。来週のFOMCなども見極めるための重要なカギを握ることになりそうだ。(了)
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