井上尚弥、初のWBC世界戦は余裕!?「戦い方はリングで向き合ってから考える」
デビューして1年半、しかもわずか5戦しかプロ経験のない20歳のホープが、キャリア30戦超、世界チャンピオンに2度も載冠している強者に勝てるのか?
勝てば日本ボクシング史上最速となる、通算6戦目での世界チャンピオンを視界に捉える弱冠20歳の井上尚弥選手(大橋ジム所属)。大勝負を2日後に控えた4日午後、世界タイトルマッチの調印式&記者会見後に、地下駐車場で井上選手を直撃インタビューした。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=617983
◆余裕と自信に満ち溢れた20歳の回答
「勝ちますよ!」
開口一番、聞こえてきたのは余裕と自信にあふれる回答だった。しかしそれは、どこからくるものなのだろうか。
「(世界戦を目前に控え)誰だってこの場に立ったとき『不安だ、勝てない』、とは言いませんよね。もちろんプレッシャーや不安はありますよ……」
自信と余裕が象徴的だった井上選手から、意外にも、他のメディアにはほとんど語られることのなかった素の感情を垣間見ることができた。元世界チャンピオンの大橋秀行会長から名付けられたニックネームは“怪物”。やはりどんなに強くとも、不安はつきまとうのか。日本歴代1位、通算13回の世界戦防衛記録を持つ具志堅用高さえ、試合前の入場シーンでは本気で逃げ出したくなると語っていたほどだ。
◆対戦者、王者の横顔とは
世界ランク4位の井上選手が挑む王者は、WBCライトフライ級チャンピオン、アドリアン・エルナンデス(メキシコ)。WBCの本部メキシコから乗り込んでくるファイターで、29勝(18KO)2敗1分という豊富なキャリアを持つ。「イノウエのビデオを見て、強いのは自覚しているが、練習の成果を出せば問題ない」と、記者会見では全く表情を変えずに言い切った。
チャンピオンは懐の深いファイトスタイル。井上選手が得意なミドルレンジをエルナンデスに支配されると、大きく振り回してくるフックの餌食になってしまうリスクが潜む。危険なチャンピオンであることに違いはない。不気味なほどのクールさも、経験に裏打ちされたものなのか。
そんな王者を相手に、どのような戦いを挑むのか。井上選手は「まあ、実際にリングで向き合ってから考えます。足はひとつのポイントになると思いますが……」と、淡々と語った。
◆勝算は?KOなるか?
井上選手のファイトスタイルは、アグレッシブで好戦的。だが、天才的なテクニックを併せ持つ。会見を取材した元プロボクサーのS氏は「思わず“ はえぇ! ”って口に出てしまうほど、彼のパンチ、フットワーク、タイミング、すべてにおいてスピードは桁違い」と言う。
さらには、ロングもショートもフックもアッパーもといったバリエーション豊富なパンチ、出し入れの速いステップワークを軸にした距離感、パンチをもらわないディフェンステクニックと、どれをとっても一級品。これだけの才能を秘める井上だ。「順当に戦えば、緑のベルトは井上の腰に巻かれるはず」とS氏は語った。
かつて“天才ボクサー”の異名を取り、愛弟子の井上に“天才”の系譜を継いだ、元世界チャンピオンの大橋秀行会長は、井上の最大の魅力を『一瞬のひらめき』と、語った。果たして井上選手は、キャリアの浅さを一瞬のひらめきでカバーできるのだろうか?
最後に、KOについてズバリ聞いてみた。
「KOはファンの見たいところだし、流れの中でチャンスがあれば狙いたい」
勝つこと前提の、余裕と冷静な受け答え。彼はやっぱり怪物だった。
ちなみにボクシングと聞くと、ゴッツイ男たちが裸で殴り合うと思っている人も多いだろうが、写真をご覧なってお分かりのようにシャープな顔立ちで、受け答えは非常に好感が持てる好青年だ。ルックスだけでなく、世界最短奪取の日本記録もかかる試合だけに、ボクシング界だけなく、スポーツ界全体、いや、社会的にも大きな注目を集めるに違いない。天才ボクサー“ナオヤ”が華麗にチャンピオンになるその歴史的瞬間を、この目で確かめてもらいたい。「一瞬のひらめき」で王者をキャンバスに眠らせる様子は、ぜひリアルタイムで見たい。
※4月6日(日)に大田区総合体育館にて開催されるダブル世界戦は、フジテレビ系全国ネットにて22:00から独占中継。
●WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ アドリアン・エルナンデス(メキシコ)VS井上尚弥
●WBC世界フライ級タイトルマッチ 八重樫東(やえがし・あきら)VSオディロン・サレタ(メキシコ)
<取材・文/スポカルラボ http://www.sclabo.net/>
『真っすぐに生きる。』 スタートラインは世界チャンピオン |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ