壁ドンよりも監禁、拘束…女性がハマるBLの魅力って
●「ハーレクイン・ラブシック」http://rabusikku.com/index.html
海外で人気のMM(海外版ボーイズラブ)を、日本人BL作家が超訳した作品のほか、日本オリジナル作品も展開。
取材・文/武藤徉子 (C)ハーレクイン・ラブシック 相葉キョウコ/葛西リカコ
男性同士の恋愛を描くボーイズラブ(以下BL)。「一部のこじらせ女子が読むエロ本だろ」なんて認識は昔の話。書店でのBL売り場は広がる一方で、支持者は急増。そしてこの度、ロマンス小説でおなじみハーレクイン社から、海外のBL小説も交えた作品を集めた新レーベル「ハーレクイン・ラブシック」が誕生。BLブームは日本のみならず、海外にも広がっていたのだ。男には理解し難いその魅力とは?
「ひとことで集約するなら、癒されたいということでしょうか」とは、ハーレクイン・ラブシック編集部の担当者。
「BLを愛好する層は、高学歴女性が多いといわれています。彼女たちの中には、いわゆる普通のロマンス小説には感情移入しづらいという方もいらっしゃると聞いています。ちょっとまじめな話になってしまいますが、現代女性は、女性らしさだけを求められていません。就職して男性並みに働くことはもはや当たり前です。その現実と照らし合わせた時、一般的なロマンス小説に違和感を感じられる読者もいらっしゃるということではないでしょうか」
バリバリ働く女性にとって、白馬の王子様が現れるストーリーは現実にそぐわないというわけだ。とはいえ、キャリアウーマンを主人公とした作品もあるが……。
「リアルな女性像ですと、例えば嫁姑問題とか、現実的な細部まで想像してしまいます。BLは、現実から切り離して純粋に恋愛部分だけを楽しめるものです。普段、男まさりの女性も実は愛されたい、けれどそれを出すのは恥ずかしい気持ちもあるのでしょう」
リアル社会では、女々しい自分を出せないが、物語でその欲望を満たすというわけだ。また、BL作品では、『王道』と呼ばれるストーリー展開が好まれる。それは、壁ドンのような胸キュンではなく、執着攻め(注:BLでは男役を“攻め”と呼ぶ)キャラに、閉じ込められ無理矢理愛され恋愛が成就するタイプだ。
ちなみにBLにはセックスシーンは必須。普通に挿入するだけでは飽き足らず、3Pや監禁ものなどの過激なものも人気という。女も男並みに性欲が強くなっているってことか。
「年々、過激な表現が増えていますね。当社の刊行物も、よりエッチなイラストが入った方が売れ行きはいいです。でもそれは、女性が急にエッチになったのではなく、今まで女性向けの官能作品がなかったからだと思います。けれどそれはあくまでファンタジーです。リアルに“拘束プレイ”など望んでいませんのでお間違えないように」
狐と狸の化かし合いのような、男女関係に夢を抱けない女性が、ハマるのがBLなのかもしれない。
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