下流自動車評論家・マリオ高野「ミラ・イースは峠道での走りっぷりが良い」
みなさん、こんにちは!
週刊SPA!から世の中の時勢を知り、低年収でもシアワセに生きられる術を日夜学んでいる下流自動車評論家のマリオ高野(38歳)です。表紙やグラビアン、SKE48の連載などのおかげで、嫁など来ずとも、心身ともにたいへん充実した日々を送っております。
相変わらず斜陽産業まっしぐらな自動車メディアの底辺にて、生活そのものは貧窮にあえいでおりますが、クルマの中ではかろうじてエコカーが世の中の注目を集めておりますので、最近はやたらとエコカーばかり乗っております。
エコカーというと、以前はクルマ好き人間からすれば退屈なクルマの極地にあるようなものばかりでしたが、最近のエコカーは燃費一点張りではなく、運転が面白かったり異様とも思えるほど強い個性があったりするので、乗っててなかなか楽しいクルマが増えてきました。
今回は、最近乗った中でも印象深いエコカーを紹介します。
それはダイハツのミラ・イース。最廉価で79万5000円で買え、カタログに載る燃費はリッターあたり32km(10・15モード)も走るということで、第3のエコカーと呼ばれている軽自動車です。さそかし安っぽくてペナペナな感触なのかと思いきや、ドアやハンドル、ペダルや内装各部の感触は普通の軽自動車と変わりません。安っぽいといえば安っぽいですが、現代の軽自動車の基準からすれば普通といえます。
走り出しての第一印象は、とにかく軽い!ということ。
車重は730kgで、ムーヴなどの売れ筋軽自動車に比べて70~80kgほど軽いのですが、体感的にはもっと大きな差があるように感じるほどヒラヒラと走ります。
ダイハツが「クルマの転がり抵抗を小さくした」と説明したので、ためしにクルマを平らな場所に停めてギアをニュートラルにし、自力で押してみると確かにいかにも抵抗が少ない感じで簡単に動かすことができたので、軽さとともに抵抗の少なさがかなり効いているようです。
エンジンは、いろいろと効率を高める細かい工夫の積み重ねで燃費を良くしたもので、電気モーターのような飛び道具が付いているワケではないのですが、燃費スペシャルなエンジンにありがちなスカスカ感はなく、普通の軽自動車のエンジンと変わりません。発進直後の出だしは、むしろ普通の軽自動車(NAエンジン)よりも力強いぐらいです。
燃費は、東京の街中を普通に転がしてリッター20kmぐらい。エアコンをケチって、まわりに迷惑がかからない範囲でノロノロ運転をするとリッター25kmぐらいまで伸びました。
高速道路では、時速60~70kmぐらいで巡航を続けるとリッター35kmまで伸び、なんとカタログ記載の数字をアッサリ超えてしまいました。国産車の燃費でカタログ通りか、それ以上の数字が出るのはたいへん珍しいことです。アクセルを深く踏み込んだときの加速感は頼りないものですが、一般的な軽自動車のNAエンジンもコレと同じように遅いので、特に気になりません。
タントやムーヴなどの背が高いボディの軽自動車と違って重心が低いので、高速域でも横風の影響を受けにくく、フラフラもせず快適に巡航できました。
登り坂にさしかかるとみるみる燃費は悪くなり、燃費を意識したノロノロ走行でのアクセル開度では息切れするかのよう。また、助手席に人を乗せると、そのぶんの重量増を如実に感じさせられ、地球の引力の存在を痛感させられます。ニュートンよりも前に生まれていれば引力の発見者になれたかも。大人4人が乗ると相当キツそうな気配です。
個人的に一番感動したのは峠道での走りっぷりの良さでした。これは微塵も期待をしていなかったイースの意外な美点!
峠道での足はグニャグニャのヨレヨレかと思いきや、730kgという軽さが最強の武器となって、下りではガンガン攻められることを実感してビックリ!
クルマは軽くなるとそれだけでスポーツ度を増すという原理をあらためて実感しました。イースをベースにスポーツ仕様のモデルを出せば、すっごく楽しいクルマに仕上がる予感がします! 絶対出ないと思いますが!
取材・文・写真/マリオ高野1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。その後、群馬県太田市へ移住し、現在は太田市議会議員に。X(旧Twitter):@takano_mario
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