「ヤクザから改心した人の本」ベスト3――極道のイメージを裏切る珍書の数々
―[ヤクザは日本の文化だ!]―
創設100年を迎えた山口組の大分裂騒動に注目が集まっている。が、ここではあえて、映画や小説、マンガなど大衆娯楽として広く長く愛されてきた文化としての「ヤクザ」を紹介する!
◆ヤクザの“改心本”は珍書の宝庫だった!
ヤクザ社会=力・脅威・謀略の支配する怖い世界というイメージだが、それを完全に裏切る本もある。珍書メインの古書店の店主・とみさわ昭仁氏に、同店で扱ってきたヤクザ本の珍書を聞いた。
「ヤクザ社会の内幕を描くものには、そこまで変な本はありませんが、自伝的な本となると、やはり普通ではない生き方をしてきた人ばかりなので、変わった本が多くなります。特に珍書が多いのは、ヤクザから改心した人の本ですね」
そう言ってとみさわ氏が差し出したのは、元暴力団組長の著作『逢えてよかった―夜回り組長にココロを預けた少女たちのホンネ』(産経新聞出版)、元ヤクザの伝道師集団が書いた『刺青クリスチャン』(早稲田出版)、タイトルからして珍書感満点の『組長をカタギに変えた犬』(角川学芸出版)の3冊。アウトロー系とは縁のなさそうな出版社から出ているのも面白い。
「反社会的な活動から足を洗った点で、出版社側も書籍にしやすい部分があるんでしょうね」
また『日本の親分グラフィティ』『激撮・六代目時代―写真で観る山口組史』などの強烈なタイトルの写真集は、仕入れると必ず売れる人気路線だという。
「やっぱり司忍組長(現・山口組組長)みたいな人は、オシャレすぎる点も含めて面白いです。写真集で『この人スゲー!』『怖ぇ!』みたいな視点からヤクザを見るのも、一つの楽しみ方だと思います」
【とみさわ昭仁氏】
「マニタ書房」店主。ライター、ゲームプランナー、収集家、日本一ブックオフに通う男。神保町の珍書主体の古書店「マニタ書房」の店主も務める。著書に『人喰い映画祭』など
― ヤクザは日本の文化だ! ―
『逢えてよかった―夜回り組長にココロを預けた少女たちのホンネ』 極道生活50年、ムショ暮らし30年の人生を歩んできたから分かる、若者たちの怒りと悲しみと痛み。「聞いてあげよう。助けてやるよ」という語りかけに、不良少年・少女たちのココロが動いた! 夜回り組長のケータイには、今日も彼らの叫びが届く。 |
『刺青クリスチャン』 キリストに助けられた極悪人から名をとった、元ヤクザ幹部の伝道集団「ミッション・バラバ」。彼らの過去と現在を紹介し、未来の姿をも展望する。 |
『組長をカタギに変えた犬 命どぅ宝』 たくさんの犬や猫が毎日殺処分されている日本の現実。「殺される命の無い社会をつくりたい」と、真っ向勝負で「日本最大の動物シェルターをつくる」と奔走する男がいる。ヤクザの世界に身を置いていた彼は、一匹の犬・タッズとの出会いから生き方を変える。命を考える感動のノンフィクション。 |
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