古墳時代の史跡・森将軍塚古墳が面白い(5)――1600年前にタイムスリップできる

森将軍塚古墳館の入り口

地元の人々の熱心な保存運動


 この森将軍塚古墳の保存には、地元の人々の一丸となった取り組みがあった。

 この古墳は、昭和40(1965)年の長野県史跡指定に伴い行われた3年間の発掘調査により、古墳時代前期の重要な古墳であることが分かった。

 一方、同じ頃から古墳の周辺で埋め立て用の土砂採取が始まり、古墳が崩壊の危機にさらされた。この古墳を守ろうとする地元の人々や研究者、行政が一体となり保存運動が起こり、昭和46(1971)年、国史跡に指定された。

 そして、昭和56(1981)年から、国や県、旧更埴(こうしょく)市(現千曲市)の援助や指導を得て保存整備事業が始まり、平成4(1992)年までの11年間、約5億円の費用をかけて整備され、今日の姿となった(以上、前掲の『ガイドブック』62~63ページ)。

 地元の人々の、この古墳を後世に伝えたいとの熱意が実を結んだと言える。

 地元の人々の熱意はその後も続いているようで、古墳に降り立つと地元のボランティアの説明を聞くことができた。話によれば、午前と午後に、それぞれ一人を配しているという。

 アクセスは、しなの鉄道屋代(やしろ)駅からは徒歩だと25分ほどかかる。循環バスかタクシーの利用となる。一方、車だと上信越道の更埴(こうしょく)ジャンクション(JCT)から長野自動車道の更埴インターチェンジ(IC)で降りて5分ほどだ。

 森将軍塚古墳館のすぐ近くには、長野県立歴史館もある。各都道府県に設置されている公立の歴史博物館と同じ位置づけにあり、長野県の歴史を紹介する展示が行われている。特筆すべきは、団体の場合、事前予約によりバックヤード(収蔵庫)の見学ができる点だ。学芸員の解説を聞きながら、埋葬されていた縄文人の遺骨を間近に見たり、土器を手に持つことができる。

 また、見学のポイントを記した学習シートなどが良くできており、こうした工夫により県内の小中学生が社会科見学で多く訪れているという。

 古墳時代に興味のある人は、この科野の里歴史公園に足を運ぶと良いだろう。科野のクニを統治した王は誰なのかという考えをめぐらし、また、古墳を後世に伝えたいという人々の思いが感じられる。

 今から1600年前の古墳時代の前期にタイムスリップできる、貴重な場所である。(了)

(文責=育鵬社編集部M)




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