世界文化遺産と日本人――ユネスコへの幻想と幻滅

モーガン書影(スパ2)

ユネスコの世界遺産登録のあり方に批判の目を向ける米国人歴史学者の新刊


それでもユネスコの“お墨付き”をほしがる日本人

 これまで50回にわたり、田中英道氏(東北大学名誉教授)の「世界文化遺産から読み解く世界史」を連載してきました。
 
 日本には現在17件の文化遺産と4件の自然遺産の合計21件の世界遺産があります。2018年5月4日には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に対して世界遺産への登録が勧告され、まもなくユネスコ世界遺産委員会で、正式に世界文化遺産として登録される見込みとなっています。

 世界文化遺産の暫定リストには、「武家の古都・鎌倉」(神奈川)や「百舌鳥・古市古墳群」(大阪)なども上がっており、地元の人たちは、ユネスコによる審査・登録の結果に一喜一憂しているのが現状でしょう。

 しかし、日本人として知っておかねばならないのは、そのユネスコによって世界記憶遺産として登録されたのが、「南京大虐殺文書」であり、登録の一歩手前までいったのが慰安婦に関する資料「日本軍『慰安婦』の声」だということです。

グローバル化を勘違いしている日本

 育鵬社から7月2日に発売の『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』(ジェイソン・モーガン著)の中で、アメリカ人歴史学者の著者は、こう述べています。

 「日本人は、グローバル化を国連と同じように『いいこと』というイメージでとらえ、盲目的にそうなろうとします。『グローバル化』といわれると、なんでも許してしまう傾向があります。私はそこに違和感を抱いています。

 そんな日本人の性格を表しているのが世界遺産です。日本人は、ユネスコに登録してもらいたくて必死です。本当に登録する必要があるもの、人類の歴史から見て登録せねばならないものなら、ユネスコが日本へ認定をお願いするのが筋ですが、逆に日本がユネスコの認定を求めています。

 富士山にしろ神社仏閣にしろ、ユネスコなどという小さな機関のお墨付きを、なぜ気にするのかわかりません。世界遺産など気にせず、自国の文化を守っていったらいいのです。世界遺産に登録してもらって観光客を増やし、懐を潤わせることだけを目的にしているのではないかと勘繰りたくなります。

 世界遺産という制度は、ユネスコが国々の特徴を自分たちの下に置くためのものです。登録という形で傘下に置いておく。それによってユネスコをさも重要な存在であるかのように見せかけることができます。

 実際、世界遺産登録された場所には観光客がたくさん訪れるようになります。しかしそのことによって遺産が荒らされています。何が目的の世界遺産登録なのか、誰のための世界遺産登録なのか、じっくり考えたほうがいいでしょう」

 モーガン氏の言うように、「グローバル化」「ユネスコ」「国連」などと聞くと、盲目的に「よきもの」と“信仰”してしまうあり方は、見直さねばならない日本人のウィークポイントであるといえるでしょう。

(文責:育鵬社編集部/引用:ジェイソン・モーガン著『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』育鵬社)

ジェイソン・モーガン(Jason Morgan)
麗澤大学外国語学部助教。歴史学者。日本史研究者。
1977年、米国ルイジアナ州生まれ。テネシー大学チャタヌーガ校で歴史学を専攻、名古屋外国語大学、名古屋大学大学院、中国の雲南大学に留学。ハワイ大学大学院で東アジア学、特に中国史を専門に研究。卒業後は韓国の慶尚北道英陽郡で英語教師として滞在。2016年、ウィスコンシン大学で博士号取得。著書に『アメリカはなぜ日本を見下すのか?』(ワニブックス)、『日本国憲法は日本人の恥である』(悟空出版)、共著に『英語対訳で学ぶ日本』(育鵬社)などがある。

アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい

「反日」「歴史捏造」に物申すアメリカ人歴史学者の日本「愛国」論。アメリカに生まれ、大学で東洋史(中国史)を研究し、 韓国で英語教師として働き、現在、日本の大学の教壇に立つ歴史学者が、 日本の歴史・文化・伝統の素晴らしさとともに、その克服すべき課題を論じる。





おすすめ記事