「愛国のリアリズム」という思考法①――客観的な事実も無視する左派系リベラルの人々

 

最新刊『愛国のリアリズムが日本を救う』のカバー写真と著者・高橋洋一氏の近影

 元財務官僚で政策通と知られる高橋洋一氏の最新刊『愛国のリアリズムが日本を救う』(発行=育鵬社、発売=扶桑社)が評判を呼んでいる。

 例えば下の画像は、北野幸伯(きたの・よしのり、1970年~)氏が発行するメールマガジン『ロシア政治経済ジャーナル(RPE)』での書評であり、高い評価が綴られている。(この画像は、読みやすいように字詰や改行を調整して転載したものであるが、実際の原文は【ここ】を クリックしてご覧いただきたい)

北野幸伯氏のメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」で紹介された『愛国のリアリズムが日本を救う』

 まず、このメルマガでの評者である北野氏を紹介しよう。彼は長野県松本市出身で県立の名門校・長野県松本深志高校を卒業後、19歳の1990(平成2)年にモスクワに留学。その動機は、前年の「ベルリンの壁」が崩壊し、国際政治の大きな潮流の変化を肌で感じたいというものであった。翌1991年の暮れにはソ連の崩壊を目の当たりにする。書斎の中にこもり、国際政治を考察する日本の一部の学者とは大きく異なる「リアリズムの思考」の持ち主である。

北野幸伯氏の近影(赤の広場にて)

 1996(平成8)年にソビエト連邦外務省付属のモスクワ国際関係大学国際関係学部を卒業(政治学修士)。このモスクワ国際関係大学は、モスクワ大学と並ぶ最高峰の国立大学であり、彼は日本人としては初のモスクワ国際関係大学卒業生となる。

 その後もモスクワに在住し(通算28年間)、リアリズムを喪失した日本の一部の学者やメディアとは異なる視点から前述のメールマガジンを発信し、登録者5万5000人を超える日本有数のメルマガとなっている。なお、彼の主な著作には『中国に勝つ日本の大戦略――プーチン流現実主義が日本を救う』がある。

 少し脇道に入るが、北野氏のこの著作も面白い。彼の問題意識は次の通りだ。中国が主体となってロシア、韓国に「反日統一共同戦線」を呼びかけ、日本の「領土要求」(北方四島、竹島、尖閣)を断念させ、また沖縄の領有権も放棄させ、さらに日本の同盟国であるアメリカもこの反日統一共同戦線に参加させるというシナリオに基づき、東アジアの国際政治が進行しており、日本はこの中国の思惑を平和裏に防止しなければならない――というものだ。

 こうした中国の覇権主義的行動に関する客観的な情報に左派系リベラルの人々が接すると、中国との親和性が強いのか頭から「あり得ない」と決めつけ思考を停止してしまい、それどころか、いたずらに「中国脅威論」を煽る右翼だとレッテルを貼り無視するのがお決まりのパターンである。

 そこで北野氏は「客観的な事実」を提示する。「ロシアの声」(旧国営モスクワ放送、現スプートニク)の日本語版の2012(平成24)年11月15日に掲載された「反日統一共同戦線を呼びかける中国」という以下の記事である。少し長くなるが、重要な根拠なので引用しよう。

「中国の著名な専門家は、中国と同様、日本と領土問題を抱えるロシアと韓国に対し、反日統一共同戦線を組むことを呼びかけた。この共同戦線は日本の指導部に対し、第2次世界大戦の結果を認め、近隣諸国への領土要求を退けさせることを目的としている。
(2012年11月)14日モスクワで行われた露中韓の三国による国際会議「東アジアにおける安全保障と協力」で演説にたった中国外務省付属国際問題研究所の郭宪纲 (ゴ・シャンガン)副所長は、こうした考えを明らかにした。郭氏は、日本は近隣諸国との領土問題の先鋭化に意識的に対応し、第2次世界大戦の結果を認めないことを見せ付けたと強調している。郭氏は対日同盟を組んでいた米国、ソ連、英国、中国が採択した一連の国際的な宣言では、第2次世界大戦後、敗戦国日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限定されており、こうした理由で日本は南クリル諸島、トクト(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)のみならず、沖縄をも要求してはならないとの考えを示した。
 こう述べる郭氏は、中国、ロシア、韓国による反日統一共同戦線の創設を提案している。日本に第2次世界大戦の結果を認めさせ、近隣諸国への領土要求を退ける必要性を認識させるために、この戦線には米国も引き入れねばならない」(原文は【ここ】で見ることができる)  

 北野氏は、こうした客観的な事実をつなぎ合わせ、東アジアの国際力学を解き明かしている。こうしたリアリストであるゆえに、同じくリアリストである高橋洋一氏を高く評価しているのであろう。 【2】に続く 文責=育鵬社編集部M

 
愛国のリアリズムが日本を救う

愛国に右も左もない。あるのは、日本に対する責任感だ! 左派リベラルの観念論を論破し、国益と政策的合理性の追求を解き明かした渾身の書





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