勝つための情報学…⑤5Gの覇権を握る国

VR

4Gから5Gへ

 日々、新しい「情報技術」に関してのニュースが報道される。大企業だけでなく、むしろ意欲的な起業家による革新的な商品も最新のテクノロジーを駆使して実現している。  例えば、ドローンの使い道は、ビジネス界における商品配達のようなものだけでなく、軍事面での使用も構想されている。身近なところでは、テレビにおける演出効果としてドローンを使った空撮が普通になっている。  その他、インターネットが出始めのころは、インターネットは役に立たないとの主張をする人もいたが、現在では、もはやインターネットがない社会は考えられない。  電話は携帯からスマホに変わったが、スマホは電話として使用される割合はごくわずかしかなく、ほぼネット機能のために使われている。  また、VR(バーチャル・リアリティ)の技術もゲームとしてだけ使われているのではない。不動産、医療など、ビジネスでもVRが次々に使われ始めているのだ。  広くコンピュータ技術が社会を変えたのは間違いないが、これが5Gの時代になると、圧倒的に性能が向上するといわれている。そして、中国とアメリカによる5Gの通信覇権の争いもどう進むのか。

アメリカVS中国

 アメリカでは、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は、ビッグデータを利用した革新的ビジネスで巨大な利益を得ている。  このGAFAに対抗する中国企業がBAT(バイド、アリババ、テンセント)となる。中国では政府もビッグデータを利用して監視社会を確立し、現金を信用しない国民性からスマホ決済が日本などよりも急速に拡大し、今や町中の露店でも使えるという。  このようななか、中国の優位性を示すものとして、「フォーブス」誌が2018年9月に報じた記事で、大手会計事務所の調査から、5Gに対応する基地局の数で、中国のファはアメリカの10倍を超えていると伝えている。  将来的に、通信の世界ではアメリカ陣営と中国陣営に分かれるといわれているが、中国の台頭を抑えたいアメリカ政府が昨年末にファーウェイ副会長を逮捕するなど、米中の確執は世界を巻き込んで進行中だ。  翻って、日本のビジネス社会においても、技術革新によって瞬時に状況が変わるので、今日の勝ち組が明日の負け組になるかもしれない。  情報技術を活用することは成功のために不可欠だが、逆に失敗を予防するためにも欠くことのできないスキルであろう。 参考:『勝つための情報学~バーチャルからリアルへ』山村明義著(扶桑社新書)
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