庶民にとって「国内旅行」は今や“高嶺の花”に。宿泊費高騰の影響で増加する「旅行に行きたくても行けない人たち」
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
国内で最も人気の高いレジャーが国内観光旅行ですが、賃金上昇を大幅に超える宿泊費の高騰に人々がためらいを見せるようになりました。
国内旅行は気軽にできる気晴らしから「高嶺の花」になりつつあります。
日本生産性本部による2023年余暇活動実態調査によると、国内観光旅行の参加率は48.7%(「レジャー白書2024(速報版)」)。前年に引き続き1位を獲得しており、2人に1人が旅行を楽しんでいることになります。
ただし、宿泊旅行の価格は高騰中。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2023年の宿泊旅行単価は6万3212円でした。2019年は5万5054円で、14.8%も上昇しています。負担が重くなっている主要因が宿泊費。インバウンド需要を背景として、宿泊費は高騰しているのです。
星野リゾートが運営するファミリー向けの代表的なホテルである「リゾナーレ」の2023年11月~2024年10月の客室平均単価は6万7363円。2018年11月~2019年10月は4万3478円でした。実に2万4000円近く上昇しています。
「星のや」もコロナ前から1万6000円上がっており、平均単価は9万665円。星野リゾートが運営する宿泊施設は少し背伸びをして利用するイメージがありましたが、もはや庶民には簡単に手を出せる場所ではなくなりつつあります。
大衆向けの観光ホテルである大江戸温泉物語も価格は上昇中。「大江戸温泉物語 伊勢志摩」の2019年の客室平均単価は3万3324円でした。2024年は3万8316円。同系列の会社が所有する「伊東ホテルニュー岡部」は2万8537円から3万5005円に上昇しています。
この平均単価は平日も含めたもので、当然休日やハイシーズンは価格が一段と高騰します。「伊東ホテルニュー岡部」で一般的な宿泊予約サイトを利用し、2025年1月の週末に大人2人と小学生の子供2人の4人家族、朝食なし夕食なしで検索すると、7万4500円のプランがヒットしました。食事なし、小学生の子供を含む1人当たりの宿泊費は1万8625円となるわけです。
じゃらん宿泊旅行調査によると、大人の1泊当たりの宿泊費2023年の平均額は1万2800円(「じゃらん観光国内宿泊旅行調査 2024」)。代表的な観光ホテルも庶民の味方とはいえず、ビジネスホテルやコンテナ型のホテルなど手軽な宿泊施設の家族利用が広がりつつあります。
星野リゾートは今や手の届かない高級旅館に
観光ホテルも庶民の味方とはいえず…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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