都市の強靭化: 六本木ヒルズのエネルギー・イノベーション2

「エネルギー」は、国土強靭化の最大の要

 こうした最悪の悪夢を回避するためには実に多くの多面的な「強靭化」が必要である。なかでも特に重要なものが「エネルギー強靭化」だ。言うまでもなく現代の日本は近代文明社会。  近代文明社会は、電気やガスなどの「エネルギー」が供給されてはじめて活動可能となる。だからもしそれらエネルギーが途絶えてしまえばあらゆる活動の停止が余儀なくされる。  いわば、近代文明はエネルギーシステムを土台とする基盤の上にそびえ立つものなのだ。したがってエネルギーシステムが破壊されればそれは単なる巨大な「鉄くず」と化してしまう。  だからこそ、国土強靭化の中でも「エネルギー強靭化」は特に重要な取り組みなのである。  そんなエネルギー強靭化の各種の取り組みの中でも、とりわけイノベーティブなものとして今、注目を集めているのが、東京のど真ん中「六本木ヒルズ」での取り組みだ。  六本木ヒルズと言えば、再開発を通して「21世紀の文化都心」として作られた日本が世界に誇る最先端の都心地区だ。  そこにはオフィス、商業、居住、娯楽施設、ホテル、放送局等、実にさまざまで重要な都市機能が集積しており、そこは今、東京の都市活動における最も重要な地区の一つとなっている。  無論、首都直下地震が東京に襲い掛かれば、この地区にも被害が及ぶ。したがって、この地区の再開発にあたっては個々の建物の耐震性をはじめとしたさまざまなイノベーティブな「強靭化」が試みられた。  ただし仮にこの地区のそれぞれの施設が「巨大地震」による攻撃のすべてをしのぎ切ったとしても、エネルギー供給が途絶えればそこでのビジネス活動も放送配信も、その継続が不能となる。 つまり、徹底的な強靭化を図ろうとした六本木ヒルズにおいてもやはり必然的に「エネルギー強靭化」の視点は無視できない最重要項目として位置付けられることとなったのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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