日本を救う港湾インフラ・イノベーション:「基幹航路」を守り、日本を守る1

「貿易コスト」の日本経済への巨大インパクト

 海外との「貿易」は日本国家の繁栄を考えるうえで絶対に無視できない重要項目だ。日本の貿易依存度、すなわち、総輸出額と総輸入額の合計値のGDPに対する比率はおおむね25%。  これは世界全体の貿易依存度約40%に比べると低いものではあるが、それでもなお、「25%」と言えば金額にして140兆円を超える巨大な水準である。  そして、この140兆円を超える日本の輸出入の大半が、船舶によって運ばれている。だから、この船舶の物流のコストがかさめば、我々の国民経済に巨大な影響を及ぼすこととなる。 「輸入」に関して言うなら、船舶の貿易コストの上昇は、日本国内の物価上昇を導き、庶民の暮らしや民間企業のビジネスを直撃する。  もちろん、物価が上昇しても、その上昇した分だけ日本国民の誰かの所得が増えるのなら、日本国民は全体としてダメージを被ることはない。  むしろ所得を上げる効果があるのだから、「成長」という点で日本経済に良い影響をもたらしていると言える。  しかし、船舶の輸入コストに関してはそうではない。輸入コストが上昇しても、その多くが外国の船会社や港湾関係者に渡るだけで、その上昇分が日本国民の所得をそのまま増やすことにはならないからだ。  つまり、輸入コストが上がるということは、その上昇分の多くに対応する金額について、日本人の所得を外国人に差し出すことを意味しているのである。 言い換えるなら輸入コストの上昇は、日本の国富、あるいは所得の「海外流出」を意味しており、結果的に日本経済に大きなダメージをもたらす。  あるいは「輸出」に関して言うなら、船舶の貿易コストの上昇は、日本製品の国際競争力の低減を確実に導く。世界GDPの40%にまで成長した貿易は言うまでもなく、熾烈な国際競争に晒されている。  そして輸出コストの上昇は、日本製品の海外マーケットにおける価格の上昇を導き、日本製品のマーケットシェアを低減させることになる。  つまり、輸出コストが上がれば、日本製品の海外での売れ行きが悪くなり、日本の輸出関連企業の業績悪化をもたらし、最終的に、日本国民の所得の低下をもたらす。  つまり、年間140兆円もの巨額の輸出入品の大半を運ぶ国際船舶のコストの水準は、輸出、輸入の双方の意味において日本国民の所得に大きな影響をも及ぼしているのであり、可能な限り引き下げていくことが、日本経済の発展、成長のために求められているのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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