大人の男は欲求に素直に生きろ! 『龍が如く』総合監督・名越稔洋氏が若い世代に喝

 全世界で750万本以上のセールスを記録した大ヒットシリーズ「龍が如く」。その10周年を記念した最新作『龍が如く 極』が’16年1月21日(木)に発売される。

 一作目のストーリーをベースに、最新の映像、サウンド技術を導入した同作の総合監督を務めるのは、シリーズの生みの親にして、その風貌からヤンチャすぎる取締役としてメディアにもたびたび出演しているセガゲームス取締役・名越稔洋氏。過去にはSPA!で男気溢れる夜遊び術を披露したこともある名越氏に、注目の最新作から「大人の男論」まで話を伺った。

――まず、最新作『龍が如く 極』が発売に至るまでの経緯を教えてください。

名越稔洋

「龍が如く」総合監督・名越稔洋氏。ヤンチャな見た目!

名越:もともと、一作目の『龍が如く』が発売されて5~6年経った頃から、「一作目を最新技術で作り直してほしい」という声はいただいていたんです。

 ただ、我々の使命はそこにあるのではなく、先の物語をファンに見せることだったので、なかなか実現とはならなかった。そんななか10周年を迎えて、せっかくならこの絶好のタイミングで、唯一やり残していた仕事をしようということになり、発売に至りました。

―――今年で10周年ですが、この長い間、世界観を変えずに作り続けられた理由は?

名越:うーん、結果論かもしれませんが、最初は日本の大人の男性がターゲットでした。でもファン層も少しずつ広がってきて、女性も増加しました。ただ、そこで迎合するのではなく、あえて「女性はやらなくていい」と言い切ることで、逆に「それ、どういう作品なの?」と興味を持ってもらえる。また、海外版のゲーム内の会話も(英語で録り直さず)日本語のまま発売することで、オリエンタルでカッコいいと評価してもらえることもあるんです。

 もちろん、新たなリクエストに応えるのがプロだという意識と、それがブレに繋がるのでは?というジレンマはあります。ただ、そんなときは発売当時の「日本の大人の男性」というコンセプトに立ち返ります。それが基準といえば基準ですね。むしろそれ以外はあまり気にしないようにしています。逆説的に、そのほうが男性、女性、両方のファンにも良いことだって思うようにしています。

―――とはいえ、10年も経つと“日本の大人の男性”も変化していますよね。例えば草食系男子なり消費しない世代なり…。

名越:たしかにその通りで、日本の大人の男性の弱体化はシンプルに感じています。一言でいえば、不安だらけの世の中なんですよね。でも、そこで「まぁツラいときもあるよね」とか「他人や政治に何とかしてもらおう」ではなく、「そもそもお前が強くなくてはダメだ」と言い切るのが「龍が如く」なんです。

 強い大人の男性とは何かを学ぶための手段として、またゲームにできる可能性のひとつとして、そこを大事に描くようにしています。

―――名越さん自身、今の若い世代に何か言いたいことはありますか?

名越:よく恋人いらないとか、欲がないとか言う人いますけど。いやいや恋人って必要でしょ!とは思いますね。なかには本当にそういう人もいるかもしれませんが、僕たちから見ると度を越しているというか(笑)。

 人生において本当に充実を求めたいならもっと自分の欲求に素直に生きるべき。今の人は欲求を抑えることで不安が解消されると勘違いしているんじゃないかって。その意味では『龍が如く』の登場人物はみんな人間らしい。ひょっとしたらゲームをしながら「こんな風に生きられたらなぁ」みたいな気持ちを抱く若い世代も少なくないのかも。

―――名越さん自身も今年で50歳ですが、いまだに現役感というかギラギラした感じがありますね。

名越:僕自身40歳になった時点で、人生の成長期から成熟期に入ったなとは思いました。ただ、消費欲はいまだに衰えませんね。20代の頃と変わらず、幼稚なままなんです。いわば物欲の塊なんですよね。いろんな人に会ったり、飲んだりするのも好きですし。さすがに女性に対して隙あらば……というのは少なくなりましたが(笑)。

名越稔洋

事前に行われた記者発表の様子。名越稔洋氏(中央)のほか、映画コメンテーターの有村昆氏(左)らも登壇

―――ちなみに最新作にB’zの稲葉浩志さんが楽曲提供されていますが、(インタビュー前の)記者会見で稲葉さん宛のお手紙を書いたという話もありましたが。

名越:本当に誕生当時では考えられなかったようなビッグネームとお仕事させていただけるようになりました。そういう方たちにオファーするとき、何が大事かというと、自分の言葉で「なぜあなたと仕事をしたいのか」をちゃんと伝えることなんです。手紙はその手段です。だって、今どき手紙なんて書かないじゃないですか。そこをあえて嘘偽りのない思いの丈を自分で書いて渡すのが一番いい。まぁラブレターみたいなものですね。でもラブレターである以上、真心を込めて書かないとね。

<取材・文/日刊SPA!取材班>

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