パチスロ正規メーカーの不正行為!! 出玉規制のきっかけ『アイス』とは何だったのか?

 2016年は、いよいよパチスロ新基準の「5.5号機」が市場に出る。既に昨年から登場している「新しい型式試験方法」によるパチスロは、1000円あたりの回転数が40前後ということで、時間あたりの消費金額は格段にマイルドになった。大負けする人もいる反面、大勝ちする人もいるのがパチスロ5号機だったが、さらに傾斜値2.0枚規制などが加わるためこれからはみんなで広く薄く負けるゲームになるわけだ。

パチスロ正規メーカーの不正行為!! 出玉規制のきっかけ『アイス』とは何だったのか?

※写真はイメージです

 だが、多くのパチスロファンは、まだ鮮明に覚えているだろう。『獣王』『ミリオンゴッド』など爆裂で鳴らしたパチスロ4号機から5号機に移行した際、やはり多くの失望の声がファンを覆った。それがいつの間にかしっかりと爆裂機が出まわるようになったではないか。5.5号機だっていずれは……と考えるのは自然な流れだ。

 射幸性に敏感な警察庁が繰り出す新たな規制に対して、パチスロメーカーは抜け道探しに精を出す。その間の模様をつぶさに綴った『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社刊)が、業界を揺らしている。著者はパチンコジャーナリストのPOKKA吉田氏だ。

「パチスロ5号機の射幸性抑制の指導は、’12年から始まっています。いま話題になっている遊技くぎの問題と構造的に似ているのですが、警察庁が問題視したのは、サブ基板でした。業界関係者らは『アイス』と呼び、パチスロファンらは『タイマー』と呼ぶ、ある疑惑があったんです。当時のパチスロはARTが活性化し始めており、そしてそのARTはサブ基板で管理するものが主流でした。サブ基板が管理するということは、かなり自由度の高い設計が可能になりますから、パチスロメーカーはここに『仕込み』をしたんです」

 だが、この“仕込み”は警察にバレることとなる。実際にいくつかのメーカーは警察に呼ばれ、事情を聞かれているという。また、ある攻略誌が独自に解析したところ、アイスに関わるプログラムが判明。これに怒ったメーカーが編集部に猛抗議して掲載を取りやめさせたという噂もある。だが、こうした“仕込み”については、パチスロの販売流通に関わる、メーカーにとってはやむなき事情が絡んでいる。

「パチスロ機をホールに販売するには、保通協が実施する型式試験に適合しなくてはなりません。この性能のチェックは、設計値や理論期待値などで適合不適合が判断されるわけではなく、『実際の出玉』で見ます。パチスロの長時間出玉率の上限は120%と決められていますが、実際問題、これではたとえ設定6でも一日稼働して差枚数は4000枚ほどです。これでは、ホールにとっても客へのアピールが弱い。だから、パチスロメーカーとしては、ギリギリの性能で型式試験に申請するのが当たり前なんです」

 型式試験では、持ち込まれた5台を1万7500ゲーム試行する。この程度であれば本来の設計値にデータが集約されるとは限らず、出玉率が高くなることもあれば低くなることもあるというわけだ。運良く後者となれば、めでたく試験に適合となる。平成27年の数字だが、パチスロは適合が250で不適合が328。パチンコの場合だと適合518、不適合171なので、その違いは歴然だろう。

「パチスロの型式試験の適合率の低さについては、10年以上も前から警察庁が何度も苦言を呈していますし、パチスロメーカーにとっても重要事項です。適合して検定を受けることができなければ、販売して利益を得ることができません。型式試験は一回の申請費用だけで百万円単位の費用がかかり、適合率が10%と50%とでは、経費が全然違います。それでも適合率が低かったのは、パチスロメーカーが求める性能が技術上の規格が厳しいため、たとえ適合率を落としてでも申請するしかない、という状況だったから。適合率の高い性能を開発しても、ギャンブル性が低くなってしまい、ホールに一定台数販売できるかどうかすら、わからないというジレンマです」

 これが、パチスロメーカーがサブ基板に「仕込み」をせざるを得なかった事情である。そして、次のような状況になった。

・型式試験申請時には、極端なデータが出ない
・ホール設置後には、極端なデータも出る

「業界関係者らが『アイス』と呼んだのは、『型式試験申請のときは氷だが、ホールに納品設置するときは同じ物だが溶けているので性能が違う』という意味でしょう。ここで注意しておきたいのですが、パチスロメーカーらは型式試験申請のときとホールへの納品のときとで、違うサブ基板を用意するということは絶対にしません。これをするのは『B物(裏モノ)』と同じで即アウトです。しかし、アイスには躊躇しないメーカーが多かった。ギャンブル性追求の病理です」

 一方、パチスロファンらが「タイマー」と呼んだのは、タイマーのような出方を感じたファンが多かったからだ。

「パチスロメーカーは、自社のパチスロが人気になる要因の一つは『たくさんメダルが出ること』だと考えています。パチスロには設定が6段階あり一番低い出玉率の設計になっている設定1の場合は、メダルがたくさん出ることに期待はできません。ですからメーカーとしては、設定1ばかりで『辛い』とファンの間で情報が広まり人気がなくなるのは厳しい。ですが、昨今のホールの営業経費は急増しており、新台入替初日から設定1というホールも珍しくない状況です。ならばと、『ホール納品初日に出玉率が高くなるような形でのアイス』というものが出てきたんです。実際、サンプル母数が大きい大手チェーンでは、データとしてこの現象を把握しています。彼らは一日の各型式の各設定ごとの出玉率を瞬時に把握できる仕組みを構築しているからです。小さなホールが10台入替してオール設定1なのに赤字、というのとはワケが違うんです」

 2010年から2011年にかけての人気ART機によるパチスロの活況は、当時のパチスロメーカーらのこういった行動に支えられたものだった。遊技くぎの問題も同じであるが、要するに「自ら抱えた病理に、メーカーの感覚が麻痺していた」のだ。

 新要件機が出ても“抜け道”を見つけて新たな爆裂機が発売される可能性はなきにしもあらず。その時、警察はどのような態度で業界にお灸を据えるのだろうか……。パチンコが本当になくなる日が来るのかもしれない。

取材・文/SPA!パチンコ・パチスロ取材班

パチンコが本当になくなる日

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