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「団鬼六賞大賞」受賞作家は現役バスガイド

花房観音氏

官能小説の第一人者・団鬼六氏が5月6日に惜しまれつつ亡くなった。奇しくも「第一回団鬼六賞」(無双舎主催)が発足し、初の受賞者が誕生したばかり。選考会議では団鬼六が激怒したとも言われる大賞受賞作品『花祀り』の作者の素顔とは――。  京都在住の作者・花房観音さんが、震災後に、団鬼六大賞の授賞式で上京した。さっそくアポを取り、東京駅近くの商業ビルで待ち合わせをした。アラフォーの花房さんは独特の色気があるタイプ。そして現役バスガイドだけに、明るくトーク上手で、知識も豊富。関西ノリを交えながら、授賞式での様子の詳細を楽しそうに話してくださった。    ランチをしながら3時間は話をしただろうか。何より驚いたのは、24歳のときに処女を捧げ、セックスと引き換えに多額の金銭も貢いできた年上男性の連絡先を、今も携帯に残しているという。時折連絡が来るが、出はしないとのこと。男と女の恋愛観の違いとして「男は名前をつけて保存、女は上書き保存」という例えを聞くが、花房さんは「名前をつけて保存」のほうなのか。それはある種の復讐なのか、執着なのか、愛の裏返しなのか。花房さんの過去の恋愛経験を聞いていると、「そんな男、最悪!」と思うようなエピソードも多々あるのだが、トークが上手なせいか、不思議と暗い気持にはならないのである。  花房さんのブログ「歌餓鬼抄」を読むと、過去の恋愛への思いがすべて削除されることなく残されている。衝撃的なヰタ・セクスアリスも。過去の恋愛を上書き保存にしない姿勢、それは性を通して生に向き合う覚悟でもあるのだ、と感じた。  花房さんは4月には団鬼六先生主催のお花見、そして5月には団先生のお葬式で毎月上京しているという。 「とても残念なことに、団先生が亡くなられたことで私も注目して頂くことになりました。書店でも『団鬼六の後継者』というようなポップを付けて目立つ所に置いてくださったり、光栄なことではありますが、複雑でもありますね」  次回作で、花房さんはどのようなセックスを描き、性の深みに導いてくれるのだろうか。作品を楽しみにしつつ、個人的には、バスガイド姿の花房さんに「本当はエロい京都」ツアーを組んでもらいたいものである。 花祀り 文/奈良岡崇子 撮影/大森律子
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