将棋ソフトは人間を超えた!? 「ボンクラーズ」が米長会長を撃破
―[将棋電王戦1]―
プロ棋士とコンピュータが戦う『第1回 将棋電王戦』が、1月14日、東京・千駄ヶ谷の東京将棋会館で開催され、日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖(68)が将棋対局ソフト「ボンクラーズ」に113手で敗れた。
後手となった米長永世棋聖は、対コンピュータ専用の作戦として、人間同士の対局ではほとんど前例のない「2手目 △6二玉」を採用。序盤は1秒間に1,800万手を読むというボンクラーズの力を封じ込め、「作戦通り」の指し回しを見せていたが、中盤で致命的な「見落とし」があり、その隙をついたボンクラーズがそのまま一気に押し切る形となった。
◆伊藤英紀氏(ボンクラーズ開発者)
「最初は苦しいかなと思っていた。今回勝つことができたのは私一人の力ではない。ご協力いただいた富士通の技術者のみなさん、これまで将棋のソフトやチェスのソフトを開発してきたみなさんに感謝したい」
◆米長邦雄 永世棋聖
「序盤は完璧に指せたが、その後の指し方が悪かった。(攻守の)切り替えがうまくできなかった。慎重さが裏目に出た形になった」
◆渡辺明 竜王(2007年にコンピュータ将棋ソフト「Bonanza」に勝利)
「(コンピュータは)もはや作戦だけで勝てるレベルではなくなっている。それは事前にもわかっていたが、あらためて認識した」
◆谷川浩司 九段(対局の立会人)
「コンピュータの長所と短所がわかった。プロ棋士にとっても、将棋ソフトの開発者にとっても有意義だったのではないか」
人間とコンピュータの戦いは、まだ終わったわけではない。終局後の記者会見では、すでに翌2013年の開催が決まっていた『第2回 将棋電王戦』が、プロ棋士5人と将棋ソフト5本が同時一斉対局する団体戦へと変更されたことも発表された。プロ棋士側の対局者には、昨年新設された「加古川青流戦」に優勝した新鋭・船江恒平四段がすでに決定している。
取材・文/坂本寛 撮影/林健太
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