将棋ソフトの死角をついた“ハメ手”で100万円獲得【将棋電王戦レポート】<後編>

 2月28日と3月1日の2日間にわたりニコニコ生放送にて中継された「電王AWAKEに勝てたら100万円!」は、そのタイトル通り、アマチュアが現在最強のコンピュータ将棋ソフトであるAWAKEに挑戦し、勝ったら100万円がもらえるという企画。プロ棋士とコンピュータが雌雄を決する将棋電王戦関連のイベントとして、毎年恒例となっているものだ。

将棋ソフトの死角をついた“ハメ手”で100万円獲得【将棋電王戦レポート】

今年もたくさんの「秒読みちゃん」が華を添え、運営からの刺客として挑戦者の集中を妨げていた

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 一方、再現性が高い「ハメ手」が見つかったことで、ニコ生運営は頭を抱えていた。

「1本くらい100万円が出て盛り上がるのはいいんですけど……何本も出ると僕のクビが……。今回の(ハメ手)は持ち時間をいじったりノートPCをデスクトップにしてもあんまり関係なさそうですし、もう祈るしかないですね」

 翌日、その運営の心配は杞憂に終わった。ほぼ同じ局面は何度も出現したのだが、誰も勝ちきれなかったのだ。結果的には、山口氏の対局のように研究と運と実力のすべてに恵まれていなければダメということだろうか。

 だが今回の作戦は、将棋電王戦FINAL本戦で登場するAWAKEやponanzaなどでも再現性が高いことが予想される。その点では別の話題を提供してくれている。対局する阿久津主税八段や村山慈明七段なら、この局面に誘導できるのであれば、おそらく相当な確率で勝てるはずだ。

 将棋電王戦FINALに出場するソフトは、ルール上もうプログラムの修正はできない。そしてプロ棋士側には、貸し出されたソフトで実際に同じ作戦が使えるか試してみて研究する時間もある。はたしてこの山口氏の作戦は、本戦でも見られるのであろうか。

「(自分が電王戦の対局者だったらどうするかとの問いに)まず貸し出されたソフトで本番と同じ環境・時間設定にして同じ作戦を試して、どのくらいの確率で使えるのか、もちろん研究はしますね。ただ使えたとしても、やはり『ハメ手』ではあるので、今回のような一発勝負のイベント対局ではいいと思うんですが、電王戦では(プロとしての)自尊心の問題も出てくると思います。難しいですね」(高見泰地五段)

 電王戦は勝ち負けがすべて。良くも悪くもそうした側面は否めない。とにかく勝ちにこだわり、勝つためならなんでもするというなら、今回の作戦を採用しない手はない。もちろん真っ向勝負(で人間が勝つところ)も見たいことは間違いないのだが……このように記者ですら迷うのだから、対局者の心境はいかばかりであろうか。

 いずれにせよ、すべてはもうすぐに白日のもとに。将棋電王戦FINALは、2015年3月14日(土)から開幕。ニコニコ生放送にて全局生中継だ。 <取材・文・撮影/坂本 寛>

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●将棋電王戦 電王AWAKEに勝てたら100万円!
http://ex.nicovideo.jp/denou/million2015/

●将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER | ニコニコ動画
http://ex.nicovideo.jp/denou/

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