社内ニート期間こそ教養を身につけるチャンス
―[社内ニートの(驚)処世術]―
企業に雇用されながらも職務に従事していないサラリーマン、「社内ニート」。何と全雇用者の8.5%が該当すると言われる。その多くは将来不安や自己の存在否定などに悩んでいるが、なかにはクビにならぬよう、あの手この手を尽くしたり、社外で担保をつくって将来不安から逃れている社内ニートも。彼らに社内サバイバル術を学べ!
◆社内ニート期間にこそ教養を身につけよ!
無目的に社内ニートをするのでなく、有り余る時間を有効活用してその後の糧にしたのが、広告代理店に勤める塚田氏だ。
「リーマンショック後の4か月間、仕事がない時期がありまして。せっかくなので、普段できないことばかりしてみることにしたんです。『打ち合わせ・渋谷』とボードに書いて「愛のむきだし」など超長編の映画を観たり、わずかに抱えていたクライアント先に行く際にも電車で20分の距離を2時間かけて歩いたり。エクセルを開いて仕事するフリをしながら、アニメを観ていたことも」
また、毎日何かしら“テーマ”を決めて一日を過ごしたのも、塚田流社内ニート生活の特徴だ。
「毎週水曜は無断欠勤デーにしてたんです(笑)。ある水曜日は「映画の日」と称して一日に4本くらいDVDを観続けたり、または一日中お風呂に入るだけの日、自転車に乗り続ける日とか。「今日は村上春樹ごっこをしよう」と思った日は、パスタを買ってきて、ロッシーニの曲を流しながら茹で始めました。小説通りなら、その後電話がかかってくるのですが、当然誰からも着信はないまま茹で上がっちゃいました。春樹ごっこはともかく、DVDを観続けるなど、この時期にインプットを増やしたことは今の仕事に生きています」
そんな塚田氏の能天気な日々も、ある日を境に終わりを告げる。
「ヒマなんで、広告系の人が対象の論文公募に挑戦したら、賞を獲ったんです。20万円もらえたのはよかったのですが、会社に僕がヒマだったことがバレてしまって。夢のような4か月がそこで終わりましたね……」
【人生を豊かにするオススメ3作品】
●『堕落論』(坂口安吾著)
「社内ニートをしていて自己嫌悪に襲われたときには、ダメ人間作家の作品を読むと勇気づけられます」(塚田氏)
●『爆笑問題 太田光自伝』(太田光著)
「過去に引きこもり時代があった著名人の自伝は、自分も将来飛躍できるかもと希望がわいてくる。町田康にも励まされた」
●『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー著)
「有名だけど難解で手を出しづらい古典作品を読んでおけば、知的アピールに。ゴダール映画やフロイトの精神分析でも可」
【塚田弘人氏】(仮名)
広告代理店勤務。「業績を残している著名人にはニート経験がある人も多いので、社内ニートになっても落ち込まなかった」と語る
取材・文/朝井麻由美
― 社内ニートの(驚)処世術【10】 ―
『堕落論』 毒をもって毒を制す! |
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