ダメ店長だけどSNSで生きがいを見出す社内ニート
―[社内ニートの(驚)処世術]―
企業に雇用されながらも職務に従事していないサラリーマン、「社内ニート」。何と全雇用者の8.5%が該当すると言われる。その多くは将来不安や自己の存在否定などに悩んでいるが、なかにはクビにならぬよう、あの手この手を尽くしたり、社外で担保をつくって将来不安から逃れている社内ニートも。彼らに社内サバイバル術を学べ!
【職場では頼られなくてもネット上で承認されれば幸せ】
三波雅俊さん(仮名)35歳・ファミレス店長
責任感が強く、仕事の場面では、何でも自分一人で背負い込む癖のあった三波さん。が、その性格が災いし、配属される各所で角が立ち、ことごとくなじめない。流れ流れて、多忙な店舗の店長を任されるも、心労でうつ病になってしまう。ダメな社員とレッテルを貼られながら、長期休暇を取ることに。落ち込んでいるときに、東日本大震災が襲ってきたのだが……。
「時間もあったし、仕事への復帰の第一歩にもなると思い、被災地のボランティアに行きました。しかし、命からがら家族で逃げ出した人たちの話を聞いて、仕事なんかよりも家族を大事にしなければと、人生観を改めたんです」
帰ってきて配属されたのは、客があまり来ない暇な店舗。あからさまな左遷だった。しかも、その店では長期のアルバイト店員が幅を利かせており、毎日が手持ち無沙汰に。以前の彼ならば、そのアルバイトと対立してでも業務に口を出し、仕事を奪還しただろう。しかし、彼はそうせず、赴任してすぐにカミングアウトした。
「自分がうつ病で休んでいたことが漏れ伝わっていたので、まずその事実を認めました。さらに、仕事もあまりガツガツできないと。その職場では、ダメ店長キャラでいくことにしたんです」
すると、この戦略が吉と出た。「ウチは店長がダメだ」とアルバイトが危機感を抱き、率先して働くようになったのだ。
「やることはさらに少なくなりましたが、その分アルバイトが頑張ってくれる。暇な私がやることは、ミクシィ内で私を“お兄ちゃん”と慕ってくれる疑似の“妹”と日記でやりとりすること(笑)。SNSの世界では、職場のダメな私と違い、何でも相談できる頼られキャラ。この妹と本物の家族から承認されていることを実感するからこそ、職場で頼られる存在にならなくてもいいと思えています」
以前より肩の力を抜くようになった彼は、今日も頑張るアルバイトを横目に、携帯のボタンをニチニチといじり妹と戯れるのだった。
【極意】
ダメ上司ほどその部下は頑張る。ミクシィが趣味に
イラスト/服部ともあき
― 社内ニートの(驚)処世術【7】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ