広島カープ育ちの2人がヤンキースの窮地を救う
⇒【画像】デレク・ジーターの故障を伝える地元メディア
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=488062 昨年まで2年連続40本塁打のカーティス・グランダーソンも故障で開幕を迎え、5月中旬に一度は復帰したものの再び離脱。8月2日にようやく復帰したばかりだ。加えて主砲のマーク・テシェイラ、ケビン・ユーキリスも揃って戦線離脱中だ。 極め付けはA・ロッドこと、アレックス・ロドリゲス。今季試合出場ゼロだったリハビリ中のスラッガーは、今日8月5日、4番サードでスタメン復帰を果たした。何の因果か、DL入りのジーターの入れ替えでメジャー25人枠に登録された。 しかし彼こそは、メジャーリーグで大問題となった薬物スキャンダルの渦中の人物。A・ロッドが復帰を果たした同日、メジャーリーグ機構は同選手に対する2014年までの出場停止処分を発表。規定により、異議申し立ての間はゲームに出場できるものの、束の間のメジャー復帰となりそうだ。 これだけ故障者が続出すれば、スター選手を数多く抱えるヤンキースといえど、銀河系集団の面影はまるでなく、ラインナップには地味な顔触れが並んでいる。開幕からレギュラーとして安定した成績を残しているのは、ロビンソン・カノ、ブレット・ガードナー、そしてイチローの3人のみ。打者有利な球場をホームにしながら、チーム打率、本塁打数でリーグ14位(全15チーム)、得点数でリーグ13位(全15チーム)という貧打が今季を象徴している。 ◆投打の柱を担う2人の「元カープ」 そんな窮地のチームにおける救世主として期待されているのが、2人の「広島育ち」だ。 一人は言わずもがな、黒田博樹。38歳にして進化を続ける右腕はヤンキース2年目の今季、開幕からキャリア最高のシーズンを送っている。8月4日現在、防御率2.38は堂々のリーグ2位、チーム唯一の10勝を挙げている。 大黒柱のCC・サバシアが不振なこともあり、今や「黒田こそがヤンキースのエース」は地元メディアの共通見解。オールスターゲームの記者会見では、ア・リーグの監督を務めたデトロイト・タイガースのジム・リーランド監督に「なぜ黒田をメンバーに選ばなかったのか?」という質問が飛び出したほどだ。 そしてもう一人の「広島育ち」が、7月下旬にシカゴ・カブスからトレードで移籍してきたアルフォンソ・ソリアーノだ。 ソリアーノのプロキャリアは、広島カープが所有するドミニカ共和国の野球スクール「カープアカデミー」ではじまった。ここで才能を認められ1996年に来日したソリアーノは、翌年1軍戦9試合に出場し、17打数2安打の成績を残した。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=488061 しかし翌年、球団と契約交渉で折り合いがつかず、任意引退という形でソリアーノは日本を後にする。その後、ソリアーノの才能に目をつけたヤンキースと契約を結ぶと、2001年にメジャーに定着。2002年には200安打、39本塁打、41盗塁をマークするなど、パワーとスピードを高い次元で兼ね備えた選手として大ブレイク。その後2球団を経て、2006年オフに当時史上5番目の大型契約となる8年総額1億3,600万ドルでカブスに移籍した。 現在37歳。最近4年の盗塁数は一桁に止まるなど衰えも見られるが、窮地のヤンキースはソリアーノを呼び戻すことに迷いはなかった。10年振りにピンストライプのユニフォームに身を包んだソリアーノはすぐさま4番として起用され、移籍3日目にはサヨナラ打を放つなど、まずまずの活躍を見せている。 ソリアーノの才能が開花したのは広島を退団した後だが「カープ出身」の肩書きに偽りはない。本人も「野球人生をスタートとさせた場所は日本」と、自身のルーツを語る。 カープが手塩にかけて育て上げた選手をことごとく国内某球団に穫っていかれるのは、もはやオフシーズンの風物詩。こうなると大逆転優勝に懸けるヤンキースフロント陣営は今頃、広島から送られて来る膨大なスカウティングレポートを必死に眺めているかも? 広島東洋カープの優れた育成システムは、今や海を超えてグローバルブランドになりつつある? <取材・文/スポーツカルチャー研究所> http://www.facebook.com/SportsCultureLab 海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当
ワールドシリーズ制覇27回。メジャーリーグの名門ニューヨーク・ヤンキースが、非常事態に直面している。
現地8月4日時点で、地区首位のボストン・レッドソックスに9.5ゲーム差の4位。57勝53敗と辛うじて勝ち越してはいるものの、5年連続のプレーオフ進出に黄信号が灯っている。
不振の原因は、開幕から続出したレギュラー選手の故障連鎖だ。
まずはチームの顔、デレク・ジーター。昨年のプレーオフで左足首を故障したキャプテンは、今季は開幕から3ヶ月をDL(故障者リスト)で過ごし、7月上旬に今季初出場を果たしたものの、その試合で右の大腿四頭筋を負傷。翌日再びDL(故障者リスト)に戻ってしまった。オールスター休みを挟んだ7月下旬に再度復帰すると、今季第一号ホームランを放つなどしたが、8月3日に今度は右ふくらはぎを故障。3度目のDL入りとなった。
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=488062 昨年まで2年連続40本塁打のカーティス・グランダーソンも故障で開幕を迎え、5月中旬に一度は復帰したものの再び離脱。8月2日にようやく復帰したばかりだ。加えて主砲のマーク・テシェイラ、ケビン・ユーキリスも揃って戦線離脱中だ。 極め付けはA・ロッドこと、アレックス・ロドリゲス。今季試合出場ゼロだったリハビリ中のスラッガーは、今日8月5日、4番サードでスタメン復帰を果たした。何の因果か、DL入りのジーターの入れ替えでメジャー25人枠に登録された。 しかし彼こそは、メジャーリーグで大問題となった薬物スキャンダルの渦中の人物。A・ロッドが復帰を果たした同日、メジャーリーグ機構は同選手に対する2014年までの出場停止処分を発表。規定により、異議申し立ての間はゲームに出場できるものの、束の間のメジャー復帰となりそうだ。 これだけ故障者が続出すれば、スター選手を数多く抱えるヤンキースといえど、銀河系集団の面影はまるでなく、ラインナップには地味な顔触れが並んでいる。開幕からレギュラーとして安定した成績を残しているのは、ロビンソン・カノ、ブレット・ガードナー、そしてイチローの3人のみ。打者有利な球場をホームにしながら、チーム打率、本塁打数でリーグ14位(全15チーム)、得点数でリーグ13位(全15チーム)という貧打が今季を象徴している。 ◆投打の柱を担う2人の「元カープ」 そんな窮地のチームにおける救世主として期待されているのが、2人の「広島育ち」だ。 一人は言わずもがな、黒田博樹。38歳にして進化を続ける右腕はヤンキース2年目の今季、開幕からキャリア最高のシーズンを送っている。8月4日現在、防御率2.38は堂々のリーグ2位、チーム唯一の10勝を挙げている。 大黒柱のCC・サバシアが不振なこともあり、今や「黒田こそがヤンキースのエース」は地元メディアの共通見解。オールスターゲームの記者会見では、ア・リーグの監督を務めたデトロイト・タイガースのジム・リーランド監督に「なぜ黒田をメンバーに選ばなかったのか?」という質問が飛び出したほどだ。 そしてもう一人の「広島育ち」が、7月下旬にシカゴ・カブスからトレードで移籍してきたアルフォンソ・ソリアーノだ。 ソリアーノのプロキャリアは、広島カープが所有するドミニカ共和国の野球スクール「カープアカデミー」ではじまった。ここで才能を認められ1996年に来日したソリアーノは、翌年1軍戦9試合に出場し、17打数2安打の成績を残した。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=488061 しかし翌年、球団と契約交渉で折り合いがつかず、任意引退という形でソリアーノは日本を後にする。その後、ソリアーノの才能に目をつけたヤンキースと契約を結ぶと、2001年にメジャーに定着。2002年には200安打、39本塁打、41盗塁をマークするなど、パワーとスピードを高い次元で兼ね備えた選手として大ブレイク。その後2球団を経て、2006年オフに当時史上5番目の大型契約となる8年総額1億3,600万ドルでカブスに移籍した。 現在37歳。最近4年の盗塁数は一桁に止まるなど衰えも見られるが、窮地のヤンキースはソリアーノを呼び戻すことに迷いはなかった。10年振りにピンストライプのユニフォームに身を包んだソリアーノはすぐさま4番として起用され、移籍3日目にはサヨナラ打を放つなど、まずまずの活躍を見せている。 ソリアーノの才能が開花したのは広島を退団した後だが「カープ出身」の肩書きに偽りはない。本人も「野球人生をスタートとさせた場所は日本」と、自身のルーツを語る。 カープが手塩にかけて育て上げた選手をことごとく国内某球団に穫っていかれるのは、もはやオフシーズンの風物詩。こうなると大逆転優勝に懸けるヤンキースフロント陣営は今頃、広島から送られて来る膨大なスカウティングレポートを必死に眺めているかも? 広島東洋カープの優れた育成システムは、今や海を超えてグローバルブランドになりつつある? <取材・文/スポーツカルチャー研究所> http://www.facebook.com/SportsCultureLab 海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当
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