更新日:2013年10月19日 11:44
スポーツ

ムネリンの解説者デビューに絶賛の嵐

 今季、メジャー屈指の“ハイパーキャラ”を確立し、全米にその名を知らしめたムネリンこと川崎宗則。激動のメジャー2年目を終えて帰国するや否や、今度は鮮烈な“解説者デビュー”を飾った。  連日熱戦が繰り広げられている、メジャーリーグのプレーオフ。NHK BS1で生中継された、16日早朝の「アメリカン・リーグ優勝決定シリーズ」デトロイト・タイガース対ボストン・レッドソックスの第3戦に、川崎がゲスト解説として登場した。
川崎宗則

前日に帰国したばかりという川崎。藤井康生アナウンサー、レギュラー解説の辻発彦氏に挟まれ“解説者デビュー”した

 自身初のゲスト解説とあって、放送開始直後は「緊張しますね」と口にした川崎。しかし、藤井アナウンサーに「今年は英語もかなり上達されましたね」と振られると、すかさず「アイ・スピーク・イングリッシュ。リトルビット」と、早速“ムネリン節”を披露した。  その後は試合終了まで4時間近くにわたり、随所で笑いを提供しつつ、現役メジャーリーガーならではの深みある解説を展開。視聴者からはツイッター上で「面白い」「わかりやすい」「声がいい」「詩人やな」と、絶賛の声が相次いだ。 ◆球場の照明トラブルに「俺、直しに行こうかな」  トロント・ブルージェイズでプレーした今季、ユニークなパフォマーンスや爆笑インタビューで一躍人気者となった川崎。その人気振りは止まるところを知らず、あわや“組織票”でオールスター出場を果たしそうになったり(https://nikkan-spa.jp/447804)、「カワサキ・エフェクト(川崎効果)」なる言葉が生まれる(https://nikkan-spa.jp/494675)事態にまで発展した。
川崎宗則

つたない英語でも積極的に現地メディアに出演し、その都度周囲を爆笑させた

 そして解説者として登場したこの日も、持ち前のキャラクターを遺憾なく発揮した。  昨季三冠王を獲得した現役最強打者、タイガースのミゲル・カブレラが打席に入ると、川崎は「(内野手として)守りにくい打者」と紹介。その上で、「カブレラは日本語も上手いんですよ。僕が打席に入るとサードから『ガンバッテガンバッテ』って。敵チームだから、多分意味わかってないですけどね」と、三冠王の意外な素顔(?)を暴露した。  2回には、電力不足のため球場の照明が一部消えるアクシデントが発生。すると、実家が電気工務店で、自身も高校時代に電気工事士の資格を取得している川崎は「俺、資格持ってるから直しに行こうかな」と、まさかの出動アピール。
川崎宗則

「試合中断時には逆立ちをしていた」という川崎。確かに、試合前にもよく逆立ちをしていた

 もっとも、ギャグを繰り出すだけでなはなく、「アメリカではこういうアクシデントがよくある。選手も中断時の過ごし方には慣れてる。僕は逆立ちしていましたね」とも。トラブルが日常茶飯事のアメリカ生活で逞しくなった様子が伺えた。 ⇒【写真】逆立ちするムネリン
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=522661
 また、川崎が尊敬して止まないイチローの話題になると、イチローが日米通算4000本安打を記録した試合でセカンドを守っていた川崎は「(記念のボールを)盗もうと思ったんですよね」と告白。ボールがレフトから川崎に戻ってきた際、こっそり隠そうとしたが、「審判にダメと言われた。『アイ・キャント・スピーク・イングリッシュ』と言ってごまかそうとしたんですけど、やっぱりダメでした」とのことだった。 ◆上原の速球は「体感速度165キロ」  もちろん、爆笑トークだけでなく、現役メジャーリーガーならではのリアルな解説も惜しみなく展開。その話し振りからは、日ごろから周囲の選手をよく観察し、貪欲に吸収しようと努めていた姿勢が伺えた。  たとえば、「(タイガースのエース)バーランダーは打者への洞察力が凄い。打席に入るとよく目が合うんですよ」「(タイガースの打者)インファンテは、かなりポイントを前にして打つ。参考にしている」などと、各選手の特徴を具体的かつ選手目線でわかりやすく紹介。試合を締め括ったレッドソックスのクローザー、上原浩治の速球については「体感速度が表示できたら165キロいきますよ」と、その凄さを表現した。  試合展開についても、独自の言葉で表現した。両軍の先発投手が三振の山を築いていた状況について「こういう(三振が多い)日は、野手は常に足を動かしていないと動きが固まっちゃう。僕はこういうとき、スクワットしまくっている」と語り、また試合が7回まで「0-0」で進行する投手戦になると「静かな湖は波立たせないと揺れないけど、揺らした分は返ってくるから気をつけなければ」「いつも『湖を揺らすのは誰や!』と日本語で叫んでいた」と明かした。
川崎宗則

「常に体を動かしておかないと」と語る川崎。確かに、いつどこでも暇さえあればストレッチをしていた

 そして、「大声で日本語を喋って、周りに『何言ってるの?』って聞かれないんですか?」との質問に対して川崎は、「聞かれますよ。だから日本語で説明するんだけど、また『何言ってるの?』って聞かれます。ハハハ!」と笑い飛ばした。  相変わらずのムネリン節に加え、野球に対する真摯な姿勢・プロフェッショナリズムも垣間見ることができた、川崎の解説者デビュー。17日以降も、シリーズの決着がつくまで(最大で第7戦まで)毎試合解説を務めるという。ムネリンはまだまだ我々を楽しませてくれそうだ。 <取材・文/内野宗治(スポーツカルチャー研究所)> http://www.facebook.com/SportsCultureLab 海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当
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