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赤羽「激安マッサージ」90分2800円のコスパを検証

長く続いた不況は、我々の生活に激安カルチャーを浸透させた。一方、アベノミクスがもたらした好景気によって、プチ贅沢の機運も盛り上がりつつある。もはや「激安ならなんでもOK」な時代は終わったのだ。「いい激安」と「ダメな激安」を見極める目が問われている今だからこそ、本当にお得な激安商品とは何なのかを検証する! ◆肩コリに悩む漫画家・清野とおる氏がお試し『マッサージ』90分2800円 清野とおる 世間では「60分3000円」のマッサージチェーンが人気だというが、クーポンサイトでは「90分3000円」クラスの店もザラに見つかるとか。そんな値段でまともなマッサージが受けられるのか?  僕が暮らす赤羽にも「60分2000円」の店があるが、店員は中国人のシロウトばかりでマッサージ店と呼ぶのもおこがましい。今回、編集者が『グルーポン』で見つけてきたのも、その手の店だろうとタカをくくっていたら、その予想は良くも悪くも大きく外れたのだった。  訪れたのは山手線北側の某駅にあるサロン。40代半ばの女性がマンションの一室で経営しているようだが、ファンシーな室内にはスピリチュアル系の本がズラリ。この時点で大いに身構えつつ、ベッドに身を横たえ、マッサージが始まったのだが……。  これがスゴい! このオバサン、まさかのゴッドハンドである。いつも通っている赤羽の整体では、体をボキボキと鳴らすので施術中はとても痛い(後はラクだけど)。一方、オバサンのマッサージは絶妙な力加減で筋肉をほぐし、気がつけば肩周りがラクになってる!  だが困ったことに、彼女はマッサージをしながら延々と喋り続けるのだ……。OLだった若かりし頃の話から、某宗教団体のデトックス研修体験談まで、とにかくノンストップ。さらに「ウチの店にはおしゃべり好きな人じゃないと合わないと思うのよね~」と追い打ちをかけられ、おとなしく聞き役に徹することにしたのだった。  サプライズはまだ続く。「90分コース」とは、「50分マッサージ+40分講義」という中身だったらしく、やおらホネの人形「ジュリーちゃん」を助手役に、「インナーマッスルの鍛え方」のレクチャーがスタート。僕を追い出し、自らがベッドに横たわるオバサン。手首を掴まれ、彼女の腰に触るよう指示される。オバサンとはいえ、密室で女性の下半身を触る行為に戸惑っていると、オバサンの骨盤がゴリュッと動いた! 脚も腰も動かしてないのに! そしてオバサンの手は、さらに際どい部分へ僕の手を導く。すると今度は、こぶし大の何かが生き物のようにモリッと動いた! エイリアンか!!  どうやらこれが「インナーマッスル」の正体らしく、「これくらい鍛えると、腰も痛くならないし、どれだけ歩いても疲れないわよ~」とオバサンは微笑むのだった。  そんなわけで、非常に中身の濃い90分であり、これで2800円は間違いなく高コスパ。だが、肉体が癒やされる以上に精神を削られたような……。やっぱ、痛くてもいつもの整体でいいや(笑)。 【オススメ度4】★★★★☆☆ こんな珍物件がしれっと紛れ込んでいるとは、大手クーポンサイトも侮れない。オバサンのおしゃべりさえなければ、最高点つけてもいいんだけど…… 【清野とおる氏】 赤羽紹介の第一人者であり、世の奇妙なアレコレを引き寄せることでも定評のある漫画家。主な作品に『ウヒョッ!東京都北区赤羽』 ― 噂の[激安商品]を試した!【3】 ―
ウヒョッ!東京都北区赤羽(1)

この漫画は全て実話です!

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