「帽子を被り続けるとハゲる原因になる」は真実なのか!? 頭皮治療の第一人者らが科学的に検証
「帽子を被り続けるとハゲる――」
今回、「帽子内環境研究会」が行った実験は、温度・湿度計をセットしたヘルメットを被った被験者50人に、3時間におよぶエアロバイクでの有酸素運動を実施してもらうというもの。その間の帽子内の温度や湿度のほか、運動前後の頭皮の血流、運動前と後、さらには洗髪後の頭皮の汚れ・細菌数を採集したのだという。東京メモリアルクリニック・平山(東京都)院長にして、頭髪治療の第一人者、佐藤明男氏はその実験結果についてこう解説する。
「帽子を被り続けることによる頭皮の血流の変化は見られませんでしたが、帽子を被っていない状態よりも、被っている状態のほうが頭皮の汚れ、菌量ともに増加が認められました。さらに、帽子内の温度や湿度に関しては、運動開始から30分で湿度・温度ともに上昇し、その後高い値で留まる傾向が見られます。その日の気温や湿度などによる影響もありますが、帽子内は30℃を越し、頭皮表面での湿度は汗でほぼ100%。頭皮のみ“熱帯雨林気候”にさらされているような状況です」
つまりは、帽子を被った状態だと頭皮はより汚れ、菌の数も増加してしまうという、“あの迷信”どおりの結果が出てしまったというわけだ。ただし、それで「帽子を被るのはダメだ」という話ではないようだ。佐藤氏はさらに続ける。
「運動後、洗髪した後の数値は運動前よりも汚れ、菌量ともに低下し、頭皮はもっとも清浄化した状態となったという結果も出ています。つまりは、帽子を被って行動した後であっても、ちゃんと髪を洗い頭皮を清潔な状態へと戻すことができるというわけです」
現在、職務も含めて何らかの理由で週に帽子を2時間以上かぶる人は、のべ約2000万人以上いると言われている。この結果から見るに、仮に帽子を被り続けていたとしても、しっかりと頭を洗い清潔な状況にしておけば、「帽子を被る=ハゲる」という図式には直結しないようだ。当然、一番最悪なのが帽子を被って増加させてしまった菌や汚れを放置し、それらをより繁殖させてしまうこと。「ハゲるから帽子は……」と敬遠した人であっても、その後のケアさえ怠らなければ憂うことなく帽子を被っても問題ナシなのだ。
この「帽子内環境研究会」は今後もさらに詳細な検証実験を行っていく予定だという。その続報にも期待したい。
【帽子内環境研究会】
帽子を被るという行為によって、帽子内環境がどのように変化し、さらに頭皮や毛髪にいかなる影響が起きるのかを科学的に研究。同時に「健康的に帽子を活用する」具体的メソッドを生み出すことを目指し、2016年1月に設立。代表研究者は佐藤明男氏(東京メモリアルクリニック平山院長)、研究者に小西直樹氏(九州工業大学大学院准教授)、和田裕雄(順天堂大学准教授)
<取材・文/日刊SPA!取材班>
おそらく、かなり多くの日本人がこんな迷信を耳にしたことがあるだろう。さらに、「頭がはげないように」と帽子をかぶり続けることを躊躇してきた人も少なくないはずだ。
だが、帽子をかぶり続けることと「ハゲ」との因果関係はこれまで科学的に検証されたことはなく、「帽子を被るとハゲる原因になる」という理論はあくまでも“迷信”としてこれまで語り継がれてきたのである。
そんな、帽子を被ることによる頭皮環境の変化を検証すべく、男性型脱毛症(AGA)研究の第一人者などにより「帽子内環境研究会」なる団体が今年1月に発足。その発足を発表するとともに、これまでに行ってきた研究結果を先日発表した。
帽子を被っての運動はハゲる原因になるのか
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ