話題作『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が明かす「映画としておもしろくなるテーマの選び方」
――最新作では綾野剛演じる道警の刑事・諸星が「シャブとチャカ、どっちが大事なんですか!」と真顔で啖呵を切るシーンで爆笑しました。普通、そんな二択ないですからと。
白石:彼は大真面目なんですよね。新卒で刑事になった頃にその二択を問われても「そんなの決められないですよ」で終わりなんだけど、彼は拳銃を取り締まる部署にいて、そこで結果を出したからエースと呼ばれて、カネも女もついてきた。つまり、どこかで景色が変わったわけで、そんな男がその二択を叫ぶのはリアルだし、だからこそおもしろい。
――ということは、北海道警察の不祥事をめぐる実話をベースにした男たちの悲哀を描いた物語ではあるけれど、観客は笑ってもいい?
白石:もちろんです。だって、今の世の中ってあまりにも笑えなくないですか? なにかあると、一斉に叩く。ベッキーさんは完全復帰できるかどうかもわからない。舛添さんなんて東京都民中の悪みたいになってますけど、もともとはみんなから期待されて都知事になったわけですよね。なのにあんなに一生懸命領収書を作って、叩かれて、結局は辞めなきゃいけなくて。笑えますよ。
※このインタビューは7/5発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【白石和彌】
’74年、北海道生まれ。中村幻児監督主宰の映画塾に参加。講師の若松孝二監督に師事し、『完全なる飼育 赤い殺意』(’04年)などに助監督として参加。行定勲監督、犬童一心監督の作品の製作にも関わり、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(’10年)で監督デビュー。最新作『日本で一番悪い奴ら』が全国にて絶賛公開中。
取材・文/唐澤和也 撮影/江森康之
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