“大麻王子”が語る大麻のいま「日本の老人こそハッパを吸うべきだ」
2016年4月20日、あるニュースが世界を駆け巡った。
「カナダのフィルポット保健相は20日、国連の特別会合で、同国が2017年春にマリファナを合法化する新法を導入すると表明した」
北米西海岸、カナダはブリティッシュコロンビア州の街バンクーバーを拠点に、長年カンナビス(=大麻)合法化のため尽力してきたマーク・エメリーと妻のジェーン、そしてその仲間たちにとって、今年の「420」は格別のものとなったろう。毎年4月20日は、彼らが始めた世界的なカンナビス解放記念日なのだ。
エメリー氏は「Prince of Pot=カンナビス王子」の愛称で世界的に知られる、解放運動の第一人者。本年1月、氏が運営するカンナビスカルチャーにて敢行した独占インタビューをお届けする。
――あなたがこれまで何をしてきて、今カナダ、そしてバンクーバーがどんな状況にあるか、説明いただけますか?
マーク:私は、カンナビスに関するすべてを合法にするためのキャンペーンを1990年に始めた。「すべて」というのは、当時カナダではカンナビスに関するものは何でも禁じられていたからだ。1987年、カナダ政府は公式に本、ビデオ、ボング(*水パイプ)すべてを禁じた。
私の最初の取り組みは、裁判で4年間かけ、カンナビスに関する書籍と雑誌を合法にすることだった。そうして、栽培方法を記した本を持ち込むことができるようになり、有名なHIGH TIMESマガジンとカンナビス文化を流通させることができるようになった。
同時に、1994年から10年間で、私は400万粒のカンナビスの種を世界に売った。そのうち300万粒はアメリカに売り、その結果逮捕され、5年間を刑務所で過ごした。刑期をやっと2014年に終わらせたところなんだ。
私は人生におけるかなりの時間を、刑務所で過ごしている。カナダとアメリカで計34の刑務所に収監された。しかし、そうしながらもカンナビス・カルチャー誌を1994年に刊行し、世界初の動画配信となる「POT TV」を2000年3月に開始した。また、種の売買で集めた資金から500万ドルをアメリカとカナダ、ニュージランドにイスラエル、さらにはフランス、イギリスなど世界中の活動家、グループに寄付してきた。
――カンナビスに対する誤解を説く上で、最も効果的だったことは?
マーク:事前に新聞などメディアに声をかけ、警察署の前に大きなボングを持って行き、スピーチをして、一服吸って、その後逮捕される。
「警察署前でマリファナを吸う」ことは注目を集め、この問題について話す機会を得て、法律がどう間違っていて、そこにどんな不正義があるか、市民社会に伝えることができた。
カンナビスは本来、私たちの脳を進化させ、自分自身に自覚を持たせ、そして味覚、触覚、聴覚、視覚、嗅覚すべてを発達させる。社会のあらゆることに敏感になることで、脳はさらに進化するんだ。
逮捕されるたびにそのことを語り、お呼びがかかればラジオやメディアで議論してきた。実際カナダには現状に辟易している人々が多くいて、リスナーからの反響も大きかった。
こういった方法はインターネットが現在のように整備される前、社会に問題提議する上で効果的だったんだ。
今は状況が変わった。
今や世界中の人間と一瞬でコミュニケートすることができる。つまり以前ほど、わざわざ法律に抗って刑務所に入るのが効果的な方法ではなくなった。
アメリカでの裁判では、私は歴史上誰よりも大量のカンナビスを扱った罪で問われ、その事実は私を喜ばせた。しかし同時に、これは現実に最悪のケース、10年、20年、もしかしたら終身刑すら想定できる状況でもあった。
――日本に置き換えて考えると、恐いです。
マーク:日本の成功は、高齢者を巻き込むことで始まっていく。特に日本のような社会では年齢を尊重する傾向が強く、また、お年寄りには薬が必要だ。アルツハイマーや認知症はもちろん、カンナビスの成分「CBD」の発見は、痛みや不安の解消に大きな力を発揮している。
人間は歳をとれば病気になる。そしてその時、カンナビスがどれだけ助けになるかを知って皆驚くんだ。それはそのまま、合法化を後押しする大きな力となる。若者が合法化を望んでも誰も聞かないが、老人の声はみんな聞く。誰も、老人には厳しくあたりたくないものなんだ。
だから、これはカナダ、アメリカ、世界の他のどの国でもそうだったように、日本で状況打破の鍵となるのは医療的効能への理解だろう。そこで理解を得られさえすれば、物事は一気に合法化へと進む。
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