ここまではタイミング法に対して逃げ腰な男性のエピソードばかりを紹介しましたが、なかには協力的な男性もいました。しかしその協力の仕方が誤解を招くパターンもあるようです。 「人工授精と並行しながら、自然妊娠の可能性も諦めたくなかったのでタイミング法も行っていました。しかし、結果がなかなか出ない。そんななかネットで調べていると、『イカせると着床率がUPする！』というような記事を見つけたんです。そのとき、思いついたんです。子づくりのためのセックスだと今いち愉しめてなかったのですが、そうだ！ 以前のようにアレを使おうと。 　そう思い、たんすの奥から“オモチャ”を引っ張り出してきて、いざ布団へ。独身時代のときのように愉しませてやるぞ！ と意気込み、スイッチオン。畳に『カチカチカチ……』と転げる桃色のアイツを目に捉えた瞬間、奥さんは激怒。『ちょっとアンタ！ 何ふざけたモノ出してきてんのよ!!』良かれと思ってやっただけなのに……。事情を説明すると、奥さんは爆笑。以来、桃色のアイツを使うことで、あんなにつまらなかったタイミング法が楽しみになりました。変な話、どうせするなら愉しいほうがいいですからね」（37歳・公務員） 　確かに「子づくり」となると、性行為が途端に神聖化というか、儀式的なモノになりがち。それをカップルで楽しめる術を持つというのは、ひとつの知恵かもしれない。 　そして数あるエピソードのなかで、最も“トンデモ”だったのが、これ。 「結婚して10年、妻のことは人として尊敬はしてますが、もう女性としては見れなくて……。ですからセックスレスも長く、そんななか不妊治療をしたいと妻から聞かされたときは驚きました。そしてタイミング法となり、久しぶりに裸で向き合ったのですが……まったく勃ちませんでした。 　緊張しちゃって、と誤魔化したのですが、3度4度やっても勃ちやしない。奥さんは相当ショックだったでしょうが、勃たないものは仕方ない。目的は膣内で射精すること。そのため僕は、こんな提案をしました。『悪いんだけど、エロDVDを観ていいかな？ それなら勃つと思うし、ある程度シゴいて射精しそうになったら挿れるってのは……？』。以来、このような変則的セックスでタイミング法をやっています」（36歳・IT） 　奥さんの心が壊れる前に、性行為を必要としない「人工授精・体外受精」にステップアップすることをお勧めします……。 　さて、タイミング法ひとつ切り取っても、これだけのエピソードがある不妊治療の世界。100組のカップルがいれば、100通りの愛のカタチがあるようです。 【村橋ゴロー】 1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。ママ系サイトIt Mamaにて、不妊治療や産後ウツに関する連載を執筆。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい！」男たち101人の本音』（主婦の友社刊）がある。