更新日:2022年02月26日 11:21
エンタメ

世の”不寛容な空気”に抗う KOC王者・空気階段の初冠番組

新世代の実力派コント師が世の中の“空気”を観察

 キングオブコント2021で14代目王者に輝いたお笑いコンビ・空気階段。“新世代の実力派コント師”として高い評価を受ける彼らの冠番組が満を持してスタートした。その名も『空気階段の空気観察』だ。

’21年10月にテレビ朝日の深夜番組枠「バラバラ大作戦」でスタートした『空気階段の空気観察』。毎週水曜深夜2時16分〜放送中©️テレビ朝日

 番組の趣旨は「さまざまな現場に流れる“空気”をリアルに観察する」というもの。初回のテーマは「タイトルマッチを控えた格闘家のピリついた空気を観察」だった。  大事な試合を控えた格闘家を取材するテイの鈴木もぐら。しかし別室にいる水川かたまりの指示により、減量中の選手の目の前でハンバーガーをガチ食いして選手をブチギレさせたりとやりたい放題。のちにもぐらへの逆ドッキリとわかるのだが、昭和〜平成のバラエティ全盛期を彷彿とさせる“ザ・深夜番組”的なハラハラ感が存分に味わえる内容に仕上がっていた。  だが、この番組の真骨頂はこうしたハラハラ感だけではない。別の回では「ギャンブルに負けた人の空気観察」と称して、競艇帰りのオケラ街道をいく中年男性たちにもぐらがインタビューを敢行していく。

どこまでも大らかで、寛容なふたり

「通算で家一軒分くらいは負けてる」というかなりのギャンブル狂なお父さんが登場するが、もぐらのインタビューに「でも、勝ち負けなんてどうでもいいんだ」と笑う。  また「子どもに懇願されてギャンブルはもう止めた」と言いつつ今日もフラフラと競艇場に来てしまったお父さんは「毎日2万~3万円突っ込んでると感覚が狂う。でも、やめていた時期もあって、1000円あればコンビニで何でも買えるんだね。1000円って凄い!」と無邪気に感心してみせる。  他にも「“デブならではのテクニック”で女の子をもてなす」というテーマの企画では、口いっぱいにマヨネーズを垂れ流したもぐらが唐揚げに食らいつくという地獄のような画ヅラに対して、女のコが「大きな赤ちゃんみたい。かわいい!」とキュンする様子を映し出す。  つまり、ギャンブル狂やデブが“クズ”や“自己責任”といった辛辣な言葉で切り捨てられてしまう昨今の時代の〝空気〟に対して、この番組は異を唱えるがごとくどこまでも大らかで、寛容なのだ。
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コント師は2度売れる必要がある
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