ただし、一口にプライベートバンクといってもコーチ屋まがいの偽物もいます。騙されないためにも、“金融脳”を鍛えて投資のリテラシーを高めることが大切です。 　ヤル気がある人は、香港のHSBCに単身乗り込んで富裕層向けのプレミアアカウントを申し込んでみるといい。口座開設、法人開設は代行業者がはびこってますが、彼らは何の役にも立たないどころか詐欺師だったりします。人任せにせず、自分で切り開こうという気概を持って交渉すれば、案外開けます。片言の英語で事足りるし、いいトレーニングになるはずです。 　投資に何より必要なのは、情報と有機的な人的ネットワーク。海外不動産投資をやるのでも、私や古くからの仲間である人買いの井上君はベトナムのどこに空港ができて、開発されるエリアの場所が事前にわかるコネクションを築きました。この情報には大変な価値があります。これも大事なところを人任せにせず、人を大事にしてきた賜物だと思ってます。アジア経済の流れでいえば、ベトナムやカンボジアなど後進国の勃興はめざましく、大きな商機が眠っている。不動産投資以外にも、日本と比べ10年は遅れている建設技術の習得と輸出や、出稼ぎニーズなど東南アジア一つ見てもアイデアはたくさん湧いてくる。前述した金融脳に加え、信頼に値する人的ネットワークを構築することこそが、富裕層になるための近道ではないでしょうか。 【猫組長氏】 ネコノミスト。山口組在籍時は国際金融のスペシャリストとして海外に進出。法制度や金融機関の内情に精通し、複雑な金融スキームを自ら考案、実践してきた 取材・文／新型富裕層の生態調査班　撮影／長谷川智紀　図版／ミューズグラフィック　moshimoshjpeach ― ［新型富裕層］の裏錬金術 ―