鳥越俊太郎「都知事選に出たことは後悔していない」――公約が“後付け”になったワケ
――ただ、憲法改正は国会で審議されるものです。
鳥越:もちろん、そう。けど、都民も考えるべきテーマではあるでしょう。なぜなら、都知事選に最初に名乗りを上げたのは、小池百合子さんでしょ。結局、自民党の推薦候補は増田寛也さん(元総務相)になって「保守分裂」なんて言われたけど、どっちに転んでも自民党じゃない? 衆参で3分の2勢力を獲得した与党が、その勢いのまま都知事選でも圧勝したら、誰も安倍政権にものが言えなくなってしまう。それでいいのか?という問題意識は都知事選でも共有できるものだと思ったんです。
――だから、「出なきゃ」と。
鳥越:今まで、僕は出馬を全部断ってきたんです。都知事選への出馬依頼は過去3回あった。舛添(要一)さんが当選した’14年の都知事選のと きも、民主党(当時)の海江田万里さん(元民主党代表)と松原仁さん(民進党東京都連会長)が2人で家まで説得に来ましたよ。でも、断った。僕はずっと、「インサイダーにはならない」と決めて生きてきたんです。監視役のアウトサイダーであろうと。けど、今回はその自分に与えた戒めを自分で破って、誰にも頼まれてないのに出た。それは、独りよがりかもしれないけど、「出なきゃ」という使命感のようなものでした。
――出馬会見の段階で政策について「わからない」と言ったことが問題視されました。振り返ってみて、反省点はありますか?
鳥越:僕は直感で行動してしまうんですよ。「出る」というのが先で、公約はあとから考えようというスタンスだった。だから、あれはしょうがなかった。実際、講演でも僕は何の準備もしない。メモも作らない。当日ステージに立って、自分の後ろに掛かってる垂れ幕を見て、「あ、こういうテーマなんだな」と思って、それからお客さんを見て話すことを考える。だから、公約も都知事選を戦いながら考えていった。選挙期間中に保育士さんたちの生の声を聴いたり、特別養護老人ホームを尋ねたりすることで問題意識は深まった。僕が掲げた「がん検診100%」と「原発ゼロ」は以前から頭の中にあったものだけど、「待機児童ゼロ」「待機高齢者ゼロ」は民進党や共産党とすり合わせながらも、実際に都民の声を聴いて形にしていったもの。
※このインタビューは11/15発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【鳥越俊太郎】
’40年、福岡県生まれ。’65年、毎日新聞社に入社、『サンデー毎日』で編集長を務める。退社後は、『ザ・スクープ』『スーパーモーニング』(ともにテレビ朝日)などのレギュラーを経て、精力的にメディアに出演をする
撮影/中川容邦 渡辺秀之 取材・文/池垣 完(本誌) 取材協力/トータル・ワークアウト 六本木ヒルズ店
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