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1億円以上の保険金目当てに従業員や子どもを殺害…夕張事件、首謀者夫婦の末路とは?【大量殺人事件の系譜】

 濡れ手で粟のような形で手に入れた大金。H夫妻は、新築豪邸や高級車を購入、海外旅行にも何度も出かけた。贅沢三昧の豪遊の日々。だが、思うような状況は長く続くものではない。わずか2年あまりでそれを使い果たしてしまう。「夢よ、もう一度」とばかりに、そして新しい事業資金のために思いついたのが「保険金殺人」であった。金銭を騙取するためという身勝手な動機の計画的な殺人事件だったのだ。  Hらの思惑通り事件は発覚することなく、「完全犯罪」目前だった。ところが、Iへの分け前を値切ったがために、思わぬ形で悪行が表面化することになる。第一審は1987年に行われ、H夫妻はこう主張した。 「目的は放火による火災保険金騙取で、従業員を殺すつもりはなかった」  しかし、H夫妻に「未必の故意」が認定され死刑を、Iには自首が認められ無期懲役の判決が下った。Iは裁きを受け入れ、H夫妻は控訴した。ところが翌1988年、H夫妻は突如として控訴を取り下げた。これは、当時重篤な病状にあった昭和天皇がもし崩御した場合、恩赦による減刑を期待したものだった。恩赦は、刑が確定している者が対象のため、控訴を取り下げたのだ。
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過去には、明治天皇や大正天皇の崩御などに際して…
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