更新日:2022年08月21日 12:51
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「インターネット赤ちゃんポスト」を実際に利用した人たち…養子に出す側&迎える側の事情

養子縁組後進国・日本、法整備が進まない背景

 スピード重視で手軽に利用できる「インターネット赤ちゃんポスト」。しかし、その姿勢に対し、他の養親から疑問の声が上がっているのも事実。9年前、民間事業者から生後2週間の女児を迎えた藤田真弓さん(47歳)は養親たちの覚悟を疑問視する。
藤田さん

「子供には生みのお母さんから毎年、誕生日プレゼントが届くんです」と笑顔で語る藤田さん

「私の場合、1年の不妊治療を経て、養子縁組を利用しました。すぐに代表者との面談がありましたが、登録には赤ちゃんの名前候補といった書類を何枚も提出するなど、多くのプロセスを踏みました。養子は母子の一生に関わることです。実際、私も面談などされましたし」  なぜ日本で養子縁組文化は普及しなかったのか。NPO法人「フローレンス」代表の駒崎弘樹氏は「日本では施設養護文化が過度に根づいている」と解説する。 「戦争で親を失った多くの孤児たちを飢えさせないために建てられたのが養護施設です。政府は児童福祉問題の対応を施設に任せきりで、特別養子縁組などの政策を採ってこなかったのです」  こうした事態を受け、昨年12月には民間事業者を取り締まる「養子縁組あっせん法案」が成立。法案に携わった民進党の牧山ひろえ議員に内容を聞いた。 「法案には2つの柱があります。まず悪質業者の排除に向け、届け出制から都道府県の許可制になったこと。営利目的でないこと、情報の適切な管理などが条件に含まれます。もうひとつは許可を受けた団体に国や自治体から財政支援できるようにしたことです」  しかし、今回の法案は「骨組みにすぎない」と、駒崎氏は言う。 「具体的な補助金の金額や施行の時期など詳細は今後の政省令で定めます。なので、まだまだ心配は尽きませんが、今回の法案成立を機に養子縁組が社会インフラとして保育所や病院のように事業として営めることを期待しています」 【駒崎弘樹氏】 養子縁組支援事業に取り組んでいるNPO法人「フローレンス」代表。著書に『「社会を変える」を仕事にする:社会起業家という生き方』(ちくま文庫)がある 【牧山ひろえ氏】 ’64年生まれ。民進党議員。日米の法律事務所や企業で法務に携わったのち、’07年に初当選。米国弁護士の経験もあり、国際会議でも活動中。著書に『国民総政治家』がある 取材・文/鴨居理子 取材/永田明輝 ― [ネット養子縁組]の実態 ―
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「社会を変える」を仕事にする:社会起業家という生き方

挫折も経験しながらも、事業を全国に拡大していった汗と涙と笑いの軌跡。


国民総政治家

参議院議員・牧山ひろえが、どうして政治家になろうとしたのか、何を目指して政治活動をしているのかを綴るとともに、国民ができる政治参加の方法や政策提案などを紹介

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